カシオが電子看板に参入する真意 コンテンツ提供にも触手

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カシオサイネージを発表する樫尾社長

カシオサイネージは、内蔵チップを通してクラウド上にある店固有のクーポンをスマートフォンに提供する機能なども持つ。クラウドサービスなどはオプションとして別途提供する。つまり、カシオサイネージに映し出すキャラクターの差し替えなどのコンテンツ更新や、クーポン発行に必要なクラウドサービスをカシオ側から提供して対価を得るといった新たなビジネスモデルの構築を狙っている。一度製品を売りつけて終わるのでなく、顧客との関係を長期的に構築して収益につなげていこうというのである。

カシオは、もともとデジタルサイネージのようなBtoB(企業間取引)型の製品よりも、デジタルカメラや電波時計などのBtoC(一般消費者向け)製品を主軸に置いてきた。

得意のコンパクトデジカメは頭打ち

だが、昨今のスマートフォンの台頭や国内企業による競争激化の影響などで、主力ブランド「エクシリム」に代表されるコンパクトデジカメは頭打ち。収益源の多様化は喫緊の課題である。デジタルサイネージ立ち上げには、そうした事情が垣間見える。

 樫尾社長は「(プロジェクター技術など)他社が参入する上での壁は大きい。全世界の販売拠点を通して製品を広め、顧客店とともに成長していきたい」と語る。デジタルサイネージはカシオの“看板”となるか。新たな試みが始まった。

中川 雅博 東洋経済 記者

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なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

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