留学「飛躍組」は"準備力"がここまで違った 渡航前に必ず知っておきたい「3つの成功例」

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最初の関門は英語でした。ホテルでのインターンに参加するには、スカイプでの面接試験に通らなければなりません。英語は好きだったものの、ビジネス英語はまったくの素人。まずは以前から聞いていたNHKラジオ英語講座で徹底的にヒアリングを鍛え、重要文の暗記に努めました。

現地ホテルとの面接に向けては、ビザ関連手続きを依頼した米国教育団体の入念な指導のもと、英文レジュメ作成や面接対策に挑みました。4カ月間の準備期間を経て、なんとか2社目で合格。無事ビザも取得し、フロリダの有名ホテルで1年間の有給インターンシップに参加しました。

インターン開始から1カ月間は、ホテル自体の規模、世界中からの大勢の観光客、英語のスピードやアクセントに驚くばかりの毎日。もう少し勉強してから来ればよかったと、自信をなくしてしまったといいます。

落ち込みながらも当時のタスク、顧客管理を真面目にこなす日々が3カ月間ほど続いた後、その仕事ぶりが評価され、マーケティング・アシスタントに抜擢されます。日本のクライアント対応をアシストする立場になり、日本での経験をフルに生かして仕事をこなしました。丁寧できめ細やかな対応は、前任のアメリカ人より好評で、「月間ベスト従業員」として表彰されたことは彼女の自信となりました。

実は「失敗」と「成功」の事例はよく似ている

現地で働く中で、彼女はあることに気付きます。それは、多くの外国人が日本に関心を寄せているということ。「Zazen(座禅)」「Jujutsu(柔術)」「Umami(うま味)」など、日本人より詳しい外国人もたくさんいるのです。彼らにもっと日本のことを深く知ってもらえる環境を作りたい、という気持ちが強く芽生えたといいます。

インターン終了後は神奈川県の温泉旅館で外国人への営業担当として働くことになりました。現在は英語のホームページ作成や海外の旅行会社への営業、地元の商店街と協力した観光マップ作成など、多忙な毎日を送っています。自身の興味・関心が明確であったため、現地でもムダなく経験を積むことができ、いまの仕事につながっているのでしょう。

以上、3つの成功事例をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか? もうお分かりかと思いますが、実は「失敗」と「成功」の事例はよく似ています。でも、以下の点が決定的に違うでしょう。

①必ず訪れる「困難」に、具体的な解決策を考え臨機応変に対応できるか(諦めず、ふて腐れず、目の前のことに一生懸命になれるか)

②日本でできる準備を入念に行っているか英語学習は「海外頼み」になっていないか、帰国してからの具体的なキャリアイメージがあるか、それに沿った留学プランか)

これから海外に出る方に、少しでも役立てていただければと思います。

大川 彰一 留学ソムリエ 代表取締役

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おおかわ しょういち / Shoichi Okawa

日本認定留学カウンセラー協会幹事、TAFE Queensland駐日代表。1970年京都市生まれ。セールス&マーケティングに約10年間携わり、カナダに渡航。帰国後、留学カウンセラーとして4年間で約1000名以上の留学やワーキングホリデーに関わる。その後、米国の教育系NPOのアジア統括ディレクターとして約6年間、グローバル人材育成に尽力。海外インターンシップを大学の単位認定科目としての導入に成功、東北復興プロジェクト、アジアの国際協力プログラム開発にも携わる。現在は「留学ソムリエ®︎」として国際教育事業コンサルティングや留学の情報を発信。留学ソムリエの詳細はHPFacebookから。著書に『オトナ留学のススメ』(辰巳出版)。

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