東大とハーバードの大きな差 日米のトップ大学はどこが違うのか?

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では逆に、今の時代にあえて日本の大学に行くメリットとは何だろうか?

東大と海外のトップ大を天秤にかけたとき、私が東大を勧めるのは、生徒が弁護士や国家公務員、医師など、資格に直結するキャリアをイメージしている場合だ。

日本の企業に就職し、そのまま日本を活躍の舞台として生活していきたい生徒にとって、東大はやはり日本国内における人脈を築くうえで圧倒的な価値がある。

ルートHの生徒にも、自己分析をしてみて「やっぱり東大にします」と言う生徒が年に1~2名いる。それは海外のトップ大に合格するのが難しいから東大にするのではなく、「東京」という環境を選んでいるようだ。

医者になるなら、日本の大学

日本最高峰のアカデミア、東大は東京にある。世界で最先端の研究施設もあれば、日本を動かしている政治家や官僚もいる。そして、世界の一流グローバル企業も東京にある。この「東京」という環境はすべてが凝縮してあるといっても過言ではなく、そういう環境は世界で東京ぐらいしかない。

たとえば、ハーバードはボストンにあり、キャンパス周辺に刺激になるものはそこまでは多くない。その意味で、「東京」は海外のトップ大には替えがたい刺激が日常的に得られるというメリットがある。

また、理数系の医学部は日本の国立大学のほうが学費の費用対効果は圧倒的に高い。工学部に行っても医学部に行っても、年間約50万円である。もしハーバードのメディカルスクールに行こうと思ったら、年間約600万円かかる。そもそも日本の大学の医学部を卒業しないと、日本の医師免許が取得できないので、医師になりたいなら日本の大学を勧める。

このあたりが日本の大学のメリットである。

(構成:上田真緒)

藤井 雅徳 ベネッセ・高校事業部グローバル事業推進ユニット長

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ふじい まさのり / Masanori Fujii

1975年大分県生まれ。99年、ベネッセコーポレーションに入社。入社から8年間、年間200本を超える高校生への進路講演、教員向けの研修会、大学受験情報の分析などを行いながら、学校改革支援に従事する。2008年5月、米国のトップ大学を目指す少数精鋭の進学塾「ルートH」開校。3期生までで10名の卒業生を輩出し、米ハーバード大に5名、米イェール大に3名等、高い合格実績を残す。ソーシャルイントラプレナー(社内起業家)として、現在7つの新規事業プロジェクトを担当。

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