米国の利上げ時期は遠いのか、近いのか

市場関係者が注視する米FRB高官の発言

17日のNY市場は、早期利上げへの警戒感から反落した(写真:UPI/アフロ)

17日の米国株は大きく下落した。その背景には、6月の米利上げを示唆する地区連銀総裁の発言がある。市場のFEDウォッチでは、6月の利上げ確率はほとんどなく、11月でも6割を下回っている。市場関係者の多くは近い時期の利上げを想定していない。しかし今後の経済指標次第では、市場を不安定にする可能性もある。

米国経済は再び底堅さを示し始めている

17日に発表された米国経済指標は、おおむね良好だった。4月の米消費者物価指数(CPI)は前月比0.4%上昇と、市場予想の0.3%上昇を上回り、前年同月比でも1.1%上昇と堅調だった。特にガソリンの同8.1%上昇が目立った。今後は原油相場の上昇が反映される可能性が高いことを考慮すれば、前年比ベースの上昇がさらに加速しそうだ。

4月の住宅着工件数は年換算で117万2000戸と、前月比6.6%増加。住宅着工許可件数も111万6000戸と、同3.6%増だった。また4月の製造業生産指数が前月比0.3%上昇と堅調で、機械や自動車生産の増加が反映された。最近はかげりも見られた米国経済指標だが、再び底堅さを示し始めている感もある。そうなると、利上げ観測が高まり、株価への影響が懸念される。そのため、市場は地区連銀総裁の発言から、FRBの利上げスタンスに関するヒントを探ろうとするだろう。

最近の米地区連銀総裁の発言をまとめてみよう。ボストン連銀のローゼングレン総裁は、「4〜6月期の経済成長が予想通りに進めば、緩やかに金利を正常化させるのが適切」との認識を示している。また4月の米雇用統計については「雇用が最大化に近づく状況では、比較的力強い」、その上で「利上げが遅れた場合、労働市場が過熱し、急激な利上げを迫られるリスクがある」としている。また賃金も上昇の動きがあるとみている。

米ダラス連銀のカプラン総裁は、「そう遠くない将来に利上げできる」とする一方、「慎重かつゆっくりと忍耐強く進めるべき」とのスタンス。また「インフレ率は2%目標に近づいており、労働市場には需給ギャップが残るが、家計部門は良好」とし、成長率は今年2%前後になるとしている。アトランタ連銀のロックハート総裁は、「賃金や物価は上昇している」と物価目標の達成に自信を示し、「6月の利上げの可能性は排除しない」としている。その上で、「経済データ次第では、年内に2回ないしは3回の利上げは可能」とし、サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁もこの見方に同調している。

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