【渡邉美樹氏・講演】情熱と実行力のリーダーシップ(その3)

東洋経済主催セミナー「Leaders Conference 2008」より
講師:渡邉美樹
2008年2月12日 ロイヤルパークホテル(東京)

その2より続き
 次に、「外食」について少しお話をします。居酒屋というのは、非常に厳しい状況になっています。1兆5000億円と言われていたマーケットが、今は1兆円ぐらいしかない。たぶん10年後には8000億円ぐらいになってしまうのではないだろうかというような状況です。そもそも外食店は、10軒あったら10年で8~9軒つぶれるといわれています。そんな中、我々は国内で直営店を600店舗以上増やしました。香港はもっと激しくて、10軒あったら10軒つぶれる。そんな中、香港でも14軒の店舗を構え、日本のレストランとしてはナンバー・ワンの地位を保つことができています。これは決して自慢ではなくて、なぜ我々が勝つことができたのか。その原点と自分自身を振り返るために、ちょっと話させていただきたいわけです。

 私は、もともと「外食」をやろうと決めたわけではありませんでした。ただ、10歳のときに「僕は社長になるんだ」と決めて、高校を出てすぐに会社を作ろうかと思っていました。でも高校3年の担任の先生に「お前、ところで何の社長やるんだ」と言われて気付いたわけですね。私は何の社長をやるかまだ決めてなかったと(笑)。
 「それを考えるために大学へ行け」と先生に言われて大学に入り、「ニュー・ビジネスというのは難しいな」なんて思っていた矢先に、ある言葉に出会ったんです。それは平成という字を考えた安岡正篤さんという国学者の方の本にあった「新しいという字は立つ木に斧を入れるんだ」という言葉です。立つ木に斧を入れる。ゼロから生むんじゃないんだと。つまり既にあるものに対して創意工夫をすることにより、新しいものができあがるんだと。実際には新郎新婦の話で、ビジネスとは全然関係の無いところで書いてあったことなのですが、私はそれ見て、「あ、これだ」と思ったんです。とにかく人がびっくりするようなビジネスや、あっという間に一部上場企業にしてしまうビジネス、すぐ世界制覇できてしまうビジネスなんて、そんなに無いんですよ。そう思ったときに、いても立ってもいられなくなって、日本を一周しました。大学2年のときです。45日間かかりましたが、隈なく日本を回りました。日本中に新しいものを探しに。
その4に続く、全7回)

渡邉美樹(わたなべ・みき)
1959年神奈川県に生まれる。1984年に有限会社渡美商事を設立し、経営が不振だった『つぼ八』の店舗を買い取る。24歳にしてフランチャイズ店オーナーとして起業する。1986年、株式会社ワタミ(現ワタミ株式会社)を設立。現在は外食、介護、農業、環境事業を展開するほか、NPO法人の設立や神奈川県教育委員会の委員を務めるなど、多彩な分野でその才を発揮している。
詳しくはhttp://www.watanabemiki.net
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