海苔の大森屋がいま中国に進出する「勝算」

日系コンビニを狙う

「ノリ(海苔)を贈りましょう~大森屋~ホッホーホ…♪」のコマーシャルソングでお馴染みの食品メーカー・大森屋が、中国進出を決めた。2013年初にも上海に現地法人を設立、主力のノリを現地市場向けに販売する計画だ。反日の機運がまだくすぶる中、ノリの老舗があえて中国に挑む「勝算」とは。

大阪・福島区に本社を置く大森屋は、1927年に加工ノリ専業として創業。加工ノリ業界では唯一の上場企業であり、ノリ業界の名門だ。同社の缶入りノリは贈答品として支持されてきた。だがお歳暮市場の縮小や家庭向け製品の価格下落などに伴い、近年の業績は停滞が続く。直近の12年9月期も減収減益決算だった。

この長期停滞を打破し、新たな成長を求めて打って出るのが中国だ。かつては香港に現地法人があったが、それも約10年前のこと。海外販売自体が久々の挑戦となるのだ。新設する現地法人のトップに本社の稲野達郎常務を投入することからも、気合いの入りぶりがうかがえる。

大森屋が中国での拡販ターゲットとして狙うのは、日系のコンビニエンスストアだ。中国には上海、北京を中心とする主要都市でローソン、セブン‐イレブン、ファミリーマートの3チェーンが多数の店舗を展開。各チェーンでは日本でおなじみのおにぎりが「日式飯団」として販売されており、大森屋はこのおにぎりに使われるノリ需要をまずは獲得する考えだ。

生産面でも新たな挑戦

また、生産面でも従来にない試みをする。大森屋はこれまで、福岡県の自社工場で全量生産する内製戦略を採用してきた。だが中国では、現地の食品加工業に製造委託する「協業モデル」を選び、地場企業のコスト競争力と生産規模を享受する戦略だ。委託先の中国企業は現在模索中。同社のIR担当者は「生産立地先として中国に進出するには厳しい時代だが、消費市場の魅力は大きい。中期的には日系コンビニだけでなく現地企業も顧客として開拓したい」と話す。

大森屋は今13年9月期計画は売上高158億円(前期比3.6%減)、営業利益2.9億円(前期比横ばい)。国内で製品単価が下落する中、原料コスト低減でかろうじて減益をまぬがれるという厳しい見通しだ。来14年9月には爆食・中国効果で大反転できるか、展望は未知数だ。

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