「反対ばかりする人」は、実は頼りになる人だ

こうすれば一転「強力な賛成者」に変わる

反対派と弁証法的議論を行うことで、メリットも多い。少人数チームで進めているプロジェクトが、反対派の前向きな意見を取り入れることで、よりよいプロジェクトに進化するのだ。さらに合理的な理由で反対する反対派も、反対する理由が消えることでで、強力な賛成派に変わる。

筆者も、新しいプロジェクトを進める際、一番厳しい批判者であり反対者だった人の視点をプロジェクトに取り入れることによって、プロジェクトが一段とレベルアップし、さらに批判者が一番強力な賛同者に変わることを経験してきた。感情的な理由ではなく、合理的な理由で反対している人は、言い換えれば真剣にプロジェクトを考えてくれる人でもある。弁証法的議論を通じて徹底的に議論し、相手の取り入れるべきところは取り入れることで、我々が持っているプロジェクトをよりよいものにしてくれるのだ。

反対派の意見が新たな視点に

阿智村の場合も、当初「夜は真っ暗で危ない」という理由で反対する人たちも多かった。そこで夜空をサーチライトでライトアップすることで足下が見えるようにし、サーチライトを消して星空を鑑賞する時間には動かないようにアナウンスしたり、ランタンを配置して足下を照らすようにした。これで安全性が高まった。

一方で「日本一の星空ツアー」である程度の集客ができるようになると、当初は無関心だった旅館や商工業者が「われわれにとってのメリットはあるのか?」と興味を示してくる。中には「われわれにメリットがないから止めるべきだ」という反対する人も現れるようになった。

しかしそもそも「日本一の星空ナイトツアー」は阿智村の地域づくりを目的に始めたものだ。当初無関心だった旅館や商工業者が興味を示してくるのは、実はプロジェクトが広がってきた証拠でもある。そこで松下さんたちは、旅館や地域も潤うように、星にちなんだ特産品やお土産を開発したり、集客力アップで旅館の部屋を定価販売できるようにした。

そして短期的な目標を公言し、必ず達成することで、周囲からの信頼を獲得していった。阿智村の「日本一の星空ナイトツアー」は、初年度2012年の集客目標は5000人だった。結果は6500人が訪れ、目標を30%上回った。その後も高い目標を掲げて、それを上回る実績を達成し続けた。

2013年 目標1.5万人→実績2.2万人
2014年 目標3.0万人→実績3.0万人
2015年 目標5.0万人→実績6.0万人

 

この阿智村の「日本一の星空ナイトツアー」への挑戦は、新規プロジェクトで、反対派や無関心層に対してどのように考えればよいのか、大きなヒントを与えてくれる。プロジェクトが大きくなり、影響力が大きくなるにつれて、反対派と無関心層は徐々に変わっていくのである。

 

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