「親孝行=地元に帰る」はこんなにもキケン! 「おカネ」と「居場所」が大問題

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こういったリアリティチェックをしていくと、軽い絶望に襲われるかもしれません。しかし、いちばん大切なことは、相談者様が、どこを自分の居場所にするかということではないでしょうか。

偉大な思想家エマーソンの名言

19世紀の米国に、ラルフ・ワルド・エマーソンという変なおじさんがおりまして、彼は18歳でハーバード大学を卒業して21歳までボストンで教鞭をとったり牧師になったり、そんなこんなしているうちに教会を追われたりしちゃった偉大な思想家です。そんな彼は著作『自己信頼』という本で、こんなことを言っています。

“自分の果たすべき務めは、自分の居場所にいることだとわかる。
魂は旅人などではない。賢い者は家にとどまる。“

 

これはやみくもに旅をする人間への苦言であるのですが、故郷を離れて働く者にも当てはまるのではないでしょうか。

相談者様の「居場所」はどこでしょうか。家族が待つ「地元」でしょうか。それとも今働いている場所でしょうか。誰と深く心をつなげていたいでしょうか。まだ見ぬ恋人でしょうか。今いる友人たちでしょうか。最期はどこで死にたいでしょうか。まだ今いる場所で自分の可能性を信じていたいでしょうか。

エマーソンはまたこんなことを言っています。

“どこへ行っても自分の影がついてくるのだから。”

 

ぜひ、ありたい自分と、その居場所を見つけだし、来たる介護費用との妥協点を探してみてください。

ちなみに私はその昔、家庭の事情でほんのちょっとだけ祖母の家に居候してたことがあるのですが、これまたおカネにだらしなかったり、どうしようもないなって思ってたんですよね。で、ある日、大げんかして、家を出て、それから10年ぐらい会わなかったんですね。

きっと次に会うのは、死ぬときだろうと思っていたんですが、まあいろいろあって、ミラクルハプン! でありがたいことに仲直りすることができたわけです。

ああ、ばあちゃんが死ぬ前に間に合ってよかったなあと思ったのですが、
先述のとおり、介護費用の件になり、そして自己疑念に駆られることになったわけです。10年会わなかった罪悪感を消すために私はおカネで償おうとしているのではないか? と……。

でも、それを友人に話したところ、「10年会わないで、かつ、おカネも払わない孫は腐るほどいるわ。それは純粋な思いやりだよ」と言われ、ひざを叩きました。

思いやりはおカネで作れる! 

といったところで今日は失礼します☆ 

ずんずん キャリア・人間関係コーチ、コラムニスト

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ずんずん / zunzun

元外資系OL。大学卒業後、埼玉県にある日系事業会社に就職。激務の果てに「死ぬ前に丸の内OLになりたい」と転職活動を開始し、外資系投資銀行に採用される。さらにシンガポールの世界的IT系企業で働いたのち、帰国。著書にコミックエッセイ『外資系はつらいよ OLずんずんが見た資本主義帝国♪の全貌』『外資系OLは見た!世界一タフな職場を生き抜く人たちの仕事の習慣』(ともにKADOKAWA)『エリートに負けない仕事術』(大和書房)がある。

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