楽観的すぎる!日銀「展望レポート」

景気・経済観測(日本)

10月末に日本銀行が公表した「展望レポート」には、いつものことながら様々な批判が見られた。特に目立ったのは物価見通しが楽観的すぎるというものだ。

日銀の消費者物価上昇率(除く生鮮食品)の見通しは2012年度がマイナス0.1%、13年度が0.4%、14年度が0.8%(いずれも政策委員見通しの中央値、14年度は消費税率引き上げの影響を除く)となっており、14年度でも0%台前半にとどまるという民間のコンセンサスに比べると、かなり高い。

高すぎる14年度の成長率見通し

しかし、筆者が物価見通し以上に強い違和感を持ったのは、14年度の成長率見通しの高さである。

展望レポートの14年度の実質GDP成長率の見通しは0.6%となっているが、これは日銀が潜在成長率としている0%台半ばとほぼ同じだ。最初にこの数字を見た時、14年4月に予定されている消費税率引き上げの影響を除いたものではないかと思った。

特に、税率引き上げ前後の駆け込み需要と反動については、需要の発生時期がずれるだけで、均してみれば経済活動に影響を及ぼさないという考え方も可能だからだ。日銀はかつて、物価の基調的な判断する上では制度変更に伴う一時的な要因を取り除いてみることが適当であるとして、10年度の消費者物価上昇率の見通しを高校授業料無償化の影響を除いた数値で提示していたことがある。

しかし、実際にはそうではなかった。展望レポートの中身を確認すると、日銀は駆け込み需要により、13年度の実質GDP成長率は0.3%押し上げられると明示している。ニッセイ基礎研究所では13年度の駆け込み需要の規模をGDP比で0.7%と試算しており、これに比べると日銀の想定は小さい。

ただし、この点については当研究所の見方が正しいと強く主張するつもりはない。実際に消費税率が引き上げられる際には、支出額の大きい自動車や住宅の購入に関する激変緩和措置や、税率引き上げ後の負担軽減策などが講じられる可能性があり、その内容次第で駆け込み需要の規模は大きく左右される。

現時点では制度変更の内容が決まっていないため、駆け込み需要の規模は相当の幅を持って見る必要があるだろう。

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