信頼される人は「オウム返し」で聞いていた! 「波長を合わせる聞き方」のすごすぎる効果

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それを防ぐためにいちばんなのは、やはり相手の使う言葉をそのまま使うことです。オウム返しは、相手の脳内地図を尊重する聞き方なのです。

相手の脳内地図を大事にしよう

人はそれぞれに違う「脳内地図」を持っています。たとえばセミナーで、「あなたにとっての『愛』を言葉で表現してください」というお題を出すと、誰ひとりとして同じになることがありません。「え? それがなんで愛なの?」と、私の脳内地図からは想像もつかない表現が返ってくることもあります。人には人それぞれの脳内地図がありますから、すぐに自分の意味で決めつけてしまわないようにしましょう。あるクライアントが夫婦ゲンカのことを相談してきたことがありました。

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「あんなことをされたら誰でも腹が立つと思いませんか、松橋さん?」

「そうだね、それはカチンと来るね」

「いや、カチンというレベルじゃないんですよ!」

「え? 怒りを感じたわけですよね」

「カチンとなんてもんじゃありません!」

この例では、私がカチンときたという表現の意味を押し付けようとしたばかりに、相手の反感を買ってしまっています。このように、言葉一つひとつの解釈は、人によって大きく違うからです。私もかつては、「この言葉はこういう意味だ」と決めつけていました。だから、相手に話が通じないときにはよく憤っていたものです。

でも「人はそれぞれ違う脳内地図を持っている」ということを学んでから、わかるようになりました。大切なのは、相手の脳内地図を把握して、相手のわかる言葉を使うことです。そのためにも、相手と同じ言葉を使う「オウム返し」で、相手の脳内地図に近づく工夫が必要なのです。

以上、3つのペーシング技術として、「ボディランゲージのぺーシング」「声のぺーシング」「言葉のぺーシング」をまとめてきました。いずれも、すぐにでも実践できるものです。上手なペーシングで相手の信頼感を獲得し、会話の達人になってください。 

松橋 良紀 コミュニケーション総合研究所代表理事

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まつはし よしのり

コミュニケーション総合研究所 代表理事。NLPなどの心理学をベースにした「コミュニケーション心理」の専門家。対人関係が激変するコミュニケーション改善講師としても活躍。2015年6月で13冊を出版するコミュニケーション本の執筆家。米国NLP協会認定 NLPトレーナー

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