AKB48のルーツは京都花街にアリ!?(上) 共通の「ビジネスシステム」とは

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AKB48は、よく知られているように48人のメンバーから構成されるグループではありません。一般的な流れとしては、応募者が書類審査で絞り込まれ、オーディションに合格するとAKB48へのメンバーになる道が拓けます。第○期生と呼ばれるのは、オーディションの時期の違いからです。

 

まずは研究生からスタートし、歌や踊りのレッスンを受け、そのうえで正規メンバーに選ばれると、彼女たちは、チームA、チームK、チームBの3つのうちのどこか1つに所属します。

AKB48として活動するときには、各チームから選ばれたメンバーがプロジェクトチームを組んでいます。私たちがその活動を楽しんでいるAKB48は確かに実在しますが、いつでもどこでも同じ人数・同じメンバーという固定制ではありません。秋葉原の専用劇場の公演とTV出演は別のメンバーから構成されていたとしても、どちらもAKB48なのです。

つまり、AKB48と名乗れるメンバーは決まっていますが、観客が目にするAKB48は、エンターテインメントの現場に応じて、その場その場で編成されるプロジェクトチームなのです。このAKB48のマネジメントは運営会社の株式会社AKSによって行われ、総合プロデューサーが秋元康氏です。

秋元氏のコーディネートによって、チームメンバーの編成がその都度異なっても(研究生は秋葉原の専用劇場にも出演しています)、じゃんけんでCD作成のメンバーが決まっても、チームとしてのトータルイメージが明確に統一されています。

そして、AKB48を構成するメンバーの一人ひとりは、AKB48であると同時に、その多くはいわゆる芸能プロダクション(所属事務所)に所属するタレントです。

タレントとしての個人のマネジメントは個々の所属事務所に任せて、AKSと秋元康氏はAKB48としてのマネジメントに注力をするという、ビジネスの仕組みが出来上がっています。このビジネススキームをまとめると、右の図のようになります。

AKB48と京都花街

この図を見ていただくと、AKB48の興行の現場は、AKB48として活動が許されたメンバーによって構成されるその場その場のプロジェクトチーム制によって成り立ち、このプロジェクトチームをプロデューサーと運営会社が顧客満足を考えて組み立て(あるいは総選挙のように顧客参加型で組み立て)、しかもそのメンバーはそれぞれ別の所属事務所でマネジメントされている、ということがわかります。

実はこの仕組みは、京都花街のお座敷の成り立ちと同じビジネスの設計図に基づき、組み立てられています。

そう、舞妓さんたちも、おもてなしの現場ごとにお茶屋さんによって編成されるプロジェクトチーム制で、所属先の置屋さんは同一とは限りません。所属事務所が異なるAKB48のメンバーが集まり、プロジェクトチームAKB48になって、TVに出演したり劇場の舞台に立ったりすることと、京都花街のお座敷の成り立ちのビジネススキームは同じなのです。

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