中国とインド「ホットライン開設」に走る理由

友人で敵でもあるから「緊急通話」が必要

中国とインドの国境地帯にあるナトゥラ峠(写真: Vinay.vaars via ウィキメディアコモン)

中国とインドは何世紀にもわたって互いに「吠えない犬」だった。アジアで1,2を争う領土と人口を持ち、最も息の長い関係にあった両大国は、互いにほとんど無関心を装う隣国であり続けてきた。この状況は植民地支配を脱した後に変わり始めたが、その変化は遅く、不規則だった。

しかし、両国政府が、かつての米ソさながらの軍事ホットラインを開設するかもしれないという最近のニュースは、中印関係がかなり成熟した一方で、依然かなりの隔たりが存在することをも示している。

中印関係には国際的な影響力がある。両国の巨大な市場には国際商品市況への決定力がある。中国株価の乱高下は既に、世界中に波及し始めている。そして未解決の領土問題を抱え、互いに十分な不信感を持つ核大国であるため、両国関係が悪化すれば核戦争につながる危険もある。

かつては隔絶されていたが...

 歴史的に見て両国が距離を置き続けた理由は、その地理的条件にあった。そして近代に入った時点で、中国国内は混乱に陥りインドは英国の植民地となっていたため、深い繋がりを持つことは不可能だった。

両国は1950年代になって初めて、近代国家として確実に交流し始めたものの、その結びつきは深くなかったため対立が起き、1962年の中印国境紛争で最高潮に達した。

 しかし、軍事的緊張を抱えながら、過去10年間の両国関係は変化してきた。インドの最大のライバルであるパキスタンとの関係を中国が強化する一方で、インドは米国とますます親密になっただけでなく、イランとの外交関係も緊密化させている。イランは元々、中東で中国の影響力を示す前哨基地となっていた国だ。

こうした競争はここ数年で激化。両国とも日本やロシア、米国に至るまで、他国を自分の側に引き込もうとし始めている。

次ページ「海」ではインドが優勢な部分も
関連記事
Topic Board トピックボード
人気連載
Trend Library トレンドライブラリー
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

Access Ranking
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • いいね!

※過去48時間以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※週間いいね数のランキングです。

トレンドウォッチ
行き詰まる東電支援<br>原発最後の選択

賠償費用も廃炉費用も想定から大きく上振れし、東電支援スキームは破綻の瀬戸際。東電の発電所を売却し、その代金を賠償や廃炉費用に充て、東電を送配電会社に再編する構想が浮上。