アコーディアと経営統合の機は熟した PGM社長のTOB会見詳報

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なぜ私が経営統合、経営統合というのか。レジャー産業の中でもデフレの波をもろに受けているのがゴルフ場業界であり、バラ色の業界ではない。国内のゴルフ場は2400コースあり、バブル期以降はそんなに造られていないが、閉鎖されることもない。ゴルフ人口が若干ずつ減っていく中、ずっと競争過多が続いている。なおかつ国内のデフレ環境の中で顧客単価が落ち続けている。

既存のゴルフ場はすでに稼働率いっぱいで回されており、そこで顧客単価が下がれば成長はない。アコーディアもPGMも同じだ。そうなるとM&Aなどによる「外部成長」に頼らざるをえず、今までM&Aを一生懸命やり、既存ゴルフ場のマイナスを補うというビジネスモデルでやってきた。が、PGMとアコーディアが競い合ってM&Aしていたために高値で買うことになり、パフォーマンスが落ちてくる、という負の循環に陥っていた。このまま行ったら共倒れもありえ、私としては危機感を持っていた。

統合すれば成長は不要になる

われわれが経営統合を申し入れたのは、単独でこうした成長を模索するよりも、両社が統合した瞬間に、成長を手に入れることができるからだ。ゴルフ場を1つひとつM&Aしていくより、両社が統合すればコース数が300近くになる。一気に成長して、スタビライズ(安定化)し、シナジー(相乗効果)が出たら、そのシナジーをすべてのステークホルダーに分配すればよい。もう成長する必要はなくなる。単独で成長を探るより、よっぽどリスクもなく、マーケットに対し、よいメッセージを出せる。

統合のメリットについてあらためて説明すると、両社が合算すれば国内ゴルフ場業界では圧倒的に大きくなる。デフレの波の中ですぐ値上げできるとは思っていないが、単価の下落を抑えて、お客様によりよい満足感を持っていただけるようになる。両社がくっつけば、クロスマーケティングのようなことも可能になる。コスト削減も避けて通れない最大のポイントだ。共同購入、システムの統一化、本社機能の統合、コースをメンテナンスする機械の融通などもできてくる。

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