解雇は当たり前、ニッポン雇用の修羅場 “美談”は遠い昔の話

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退職勧奨と同時に職場から締め出す手法(ロックアウト)も表面化してきた。

「社員証を置いて、この場でお帰り下さい。私物は後日、宅配便で送ります」

10年4月、米国通信社ブルームバーグ東京支局の男性記者(50)は、人事担当者から退職勧奨を行われた直後にこう告げられた。リーマンンショック後の09年12月、突然上司から、「PIP」(成績改善計画)と称するノルマが示された。

過大なノルマの未達を理由に解雇

「年1本書ければよいほうの『ベスト記事』を、月1本出すなどあまりに過大なノルマ」(男性記者)だった。退職勧奨はこのノルマ未達を理由として行われた。自宅待機を経て、結局4カ月後には“能力不足”を理由に解雇された。男性は解雇無効を訴え提訴。取材ノートやスクラップ帳、原稿の入った端末もすべて会社に押さえられてしまっており、証拠集めに苦労したという。

ブルームバーグ東京支局のある丸ビル前で職場復帰を訴える男性記者

今年10月、東京地裁は合理的理由がなく解雇を無効とする判決を言い渡したが、同社は控訴。和解の席でも「原職復帰は絶対認めない」と発言するなど、締め出しの方針を変えていない(同社は判決内容を詳細に検討した上で対応を検討中、としている)。

こうしたロックアウト型のなかでも極め付きは、能力不足を理由とした普通解雇と組み合わせた、「ロックアウト型普通解雇」だ。ここでも“主役”は日本IBMだ。

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