ソフトバンク、「地味な好決算」に透ける課題 米スプリントに改善の兆しだが…

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スプリントの累計契約数は266万件増の5880万件となった。そのうち、利益貢献の大きいポストペイド(後払い)契約は124万件プラスの3095万件。携帯電話の契約数などがプラスに転じ、改善の兆しもみられるが、業界3位のTモバイルUSはさらに契約数を伸ばしており、4位のスプリントが厳しい状況であることに変わりはない。

そのほか、ヤフーも増収増益だった。2015年8月にアスクル子会社化による再評価益を約600億円計上したこと、米ヤフーにロイヤルティ料を支払う必要のないディスプレイ広告が増えたことが要因だ。

孫社長は各事業とも良好との印象を語ったが、決算短信などで実際の数値を確認すると、特殊要因を除けばあまりぱっとしない、地味な決算だったと言える。また、孫社長はプレゼンで事業子会社の「事業資産」と出資先などの「投資資産」に分けて説明した。事業資産について目立った成長はみられず、投資資産についても大きな果実を示せていない。ソフトバンクの真骨頂であるダイナミックさとは、やや離れたイメージだった。

会見における主な一問一答は以下の通りだ。

タックスヘイブンへの関与は「たまたま」

――米ヤフーが売りに出ていて、入札を締め切った。先行きをどう見ているか。ソフトバンクとして何かできることは?

米国のヤフーは自ら方針を決めていくだろうと思う。たまたまブランドを共有しているが、ヤフージャパンは自らの力で順調に伸びている。ヤフージャパンはソフトバンクが最初から実質的にコントロールしている会社で、今の状況で特に問題はない。われわれが米ヤフーを買うとか、交渉していることは少なくとも現時点ではない。

――パナマ文書が話題になっている。ソフトバンクのグループ会社も2社、文書に載っている。

朝、テレビでみて驚いた。2000社近い会社設立や投資をしてきた。そのうちのたまたま2社。1社が6000万円、もう1社が2億円ほどの投資が行われている。投資先が登録をしていた。孫会社の孫会社がどうやら少数出資をしたらしい。管理責任はあるが、悪いことをしたわけではない。両方とも赤字で終わり、税を逃れたのではなく、税を払うほどの業績にもならなかった。

――スプリントの最終黒字はいつ頃になるのか。

黒字化は近い。近いと言っても人によってモノサシは違うが、少なくとも内部的な目標に照らして、近い。金利が数千億円かかっているが、フリーキャッシュフローがプラスになってくると、借入金の利率も絶対額も下がっていく。

――黒字化は今年度中か?

今年度中はまだ。

――来年度か?

まあまあ。

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