安全か達成感か、「組み体操」巡る現場の苦悩 「危険だからやめる」以外の判断下す学校も

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縮小

別の中学校は、少子化でピラミッドに必要な体格のいい子が少ないうえ、5月では部活動などで体力をつける期間が短いことから、「実施は難しい」と判断した。「そもそも教師が専門的な指導法を学んでいない」とする学校もあり、いずれも危険を回避した形だ。

タワーをダンスに変更した県西部の中学校は「危険だからやめるのではない」と話し、教育効果を考えて組み体操に代わる新たな方法を模索する。「医師を呼ぶ事態になれば行事が台無し」と見送りを促す教委もあるが、学校側からは「問題があってすぐに縮小を決めるのは、現場として非常にやりにくい」と恨み節も漏れる。

保護者からも賛否両論

一方で、組み方を工夫して実施する学校もある。3段の立体ピラミッドを予定する県北部の小学校は、体育館のマットの上で練習を重ね、2段目の子どもの足が最初から地面につくように改善した。「伝統行事でもあり、集団的なつながりを育む上でも大切。補助者を増やして安全を確保する」と気を配る。

別の学校は組んだ後に崩すことをせず、体格と体力を見極めて子どもの位置を決め、「チームワークを重視したい」と説明。実施を検討する学校は「互いに協力してやり遂げた子どもたちの表情は輝いていて、思い出にもなる。何とかやらせてあげたい」と安全性との板挟みに頭を抱えた。

実施を見送った小学校の3年生の保護者は「段を低くしてやってもよかったのでは」と残念がる。一方で、タワーを実施する小学6年の保護者は「感動は別の技でも十分に伝わる。過保護かもしれないが、大けがの可能性もあり、学校から是非を問われれば反対する」と学校の判断に不満を漏らした。

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