北朝鮮、金正恩「第1書記」から「党委員長」へ

新たな「指導者イメージ」づくりに乗り出す

金正恩氏は「朝鮮労働党委員長」という役職に就いた(写真:AP/アフロ)
当記事は「ソウル新聞」掲載記事の日本語訳です

北朝鮮の金正恩第1書記は5月9日、朝鮮労働党の第7回党大会において「党委員長」に就くことになった。

これにより、北朝鮮における権力の両軸となる党と軍で絶対的な地位を構築したものと思われる。韓国政府は「党委員長職が新設された職責なのか確認が難しい」とする一方で、「今回の党大会を開催すること自体が、金第1書記のリーダーシップを制度的に固めるためのものだった。それを考えると、党を代表するという意味では見合った名称」という分析も出ている。

祖父である金日成の指導スタイルに倣う

すでに5月6、7日の党大会期間中に発表された「党大会事業総括」において、金第1書記に「最高水位」の職責を与えることが議題として上がっていたこともあり、新たな党の職責に就くことは確実視されていた。

金第1書記は2011年に金正日総書記が死亡すると、人民軍最高司令官に就任。翌年の12年4月に党第1書記と国防委員会第1委員長に就いた。特に金第1書記が今回の党委員長に就くことは、「先軍政治」(軍中心の政治体制)を打ち出していた父である金総書記より、祖父となる故・金日成主席に倣う形態であり、意思決定過程において党を中心とする姿勢をはっきりと示すための布石と思われる。

これまで、金日成主席も党中央委員会委員長を務めていたが、1966年10月に開催された第2回労働党代表者会で党の組織改編が行われて中央委員会委員長職を廃止した。したがって、50年前に消えた職責を復活させ、金第1書記を名実ともに労働党の最高指導者として宣言するものと思われる。

金第1書記の立場からすれば、祖父である金主席が「永遠の主席」として、また父・金総書記が「永遠の総書記」に推戴されているため、主席や総書記という職責を承継することはないだろうとの見方が多い。

ソウル大学統一平和研究院の張容碩(チャン・ヨンソク)責任研究員は、「委員長という職責を使ったのは、金第1書記が第1書記という職責を自ら捨てようとして作った苦肉の策と思われる。党を代表する包括的な職位を設ける必要があったためだ。また、実質的な集団指導体制に北朝鮮はないが、そのような雰囲気を与える職位を設けることで、集団指導体制における自らの責任を高めようとするシンボル的な職位でありうる」と説明する。

韓国のシンクタンクである世宗研究所統一戦略研究室の鄭成長(チョン・ソンジャン)室長は、「労働党にはいくつかの委員会があるため、労働党委員長という表現は不適切で、むしろ中央委員会委員長という表現が正確だ。だが、新たな職責ということで党委員長という職責を設けたのであれば、常識が通じない北朝鮮の現実を反映したもの」と評価する。
 

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