"違憲PTA"はこの「一押し」で劇的に変わった 子供会「脱会したい」の声から始まった大改革

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これまで子供会は、その地域の小学生とその保護者が全員加入してきたのだが、「脱会したい」という人が現れたのである。

なぜ脱会したいのかは、プライバシーに関わることなので、ここでは書けない。しかし脱会するにしても、手続きの方法がないのだ。そもそも入会していないのだから、脱会手続きもないのである。仕方がないので、帳簿的には転出という格好で処理することになった。

だが通常は地域外に転出する手続きなので、転出書類は学校提出と子供会提出の2枚綴りとなっている。学校では転出していないのに、子供会だけ転出したという妙なことになった。

加入するメリットは運営側がアピールすべき

昨年は子供が6年生だったので、筆者はどのみち1年で子供会とはサヨナラである。入会については例年同様ということで、逃げてしまう手もあった。しかしこの違憲状態を処理できる人は今後現れないんじゃないかと思い直し、会長最後の仕事として、28年度から入会申込書を全員に提出してもらうことにした。

PTAや子供会が入会の同意を取ることに消極的なのは、申込書などを使って入会の同意を取れば、入会しない人が出てくるからである。これは、給食費不払い問題と似たような構造を生む。すなわち、入会しなければ会費も徴収できないのだが、団体から子供たちへの「サービス」は、入会の有無でいちいち差別化できないのである。入会しない人が増えれば増えるほど、団体としては破綻してゆく。

だが、逆に一般の保護者の立場として考えてみれば、入会するメリットがないなら、入会しないのは当然である。団体としてのメリットを運営側がきちんと理解して、それをアピールする必要がある。

では団体の運営側、すなわちくじ引きなりじゃんけんなりで役員や委員になっちゃった人が、団体のメリットを把握しているだろうか。多くの場合、答えはNOだ。1年こっきりの役員や委員では、とにかく前年やってたことを同じようにこなすだけである。ほとんどのPTAは、リレーのバトンを何十年にもわたって渡し続けてきただけなのだ。

筆者も会長になったばかりの時は、子供会のメリット、というか、そもそも子供会という組織が一体なんなのか、PTAと何が違うのか、正確に把握できていなかった。だが1年間活動をやってみて、初めて全体像がわかった。多くの重要なことは、新役員になって間もない時に、よくわからないまま例年同様の手続きを引き継いでしまうので、その時には見えないのである。

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