今週の東京株式市場は「調整含み」の展開へ 円高・企業業績下振れへの懸念継続

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 5月9日、今週の東京株式市場は、調整含みの展開が見込まれている。さらなるドル安/円高進行に対する市場の警戒感は根強く、今期の国内企業業績に対する悲観的な見方が広がっている。東証で2月撮影(2016年 ロイター/Issei Kato)

[東京 9日 ロイター] - 今週の東京株式市場は、調整含みの展開が見込まれている。さらなるドル安/円高進行に対する市場の警戒感は根強く、今期の国内企業業績に対する悲観的な見方が広がっている。

政府による経済対策への期待も高まっているが、株価のトレンド転換には円高の一服が前提となるだけに、為替にらみの神経質な相場が続きそうだ。

日経平均の予想レンジは1万5500円─1万6500円。

6日発表の4月米雇用統計は、非農業部門の雇用者数が市場予想を下回ったが、平均の時給と週労働時間は増え、ドル安/円高を加速させるような内容ではなかった。ただ、ここまで決算発表を終わらせた企業の多くは、今期業績の前提為替レートを1ドル=110円に設定している。今週も11日のトヨタ<7203.T>をはじめ、国内主力企業の決算発表が相次ぐ。日本企業の今期業績が減益となるとの見方は変わりそうにない。

株価の支援材料と位置付けられる政府の経済対策についても「『あって当たり前』の雰囲気になりつつある」(国内証券)といい、事前の期待がかなり高まってしまった側面もある。

日経平均は6日までの6営業日で下落幅は1465円と、急ピッチな下げとなっているが、終値は辛うじて1万6000円台を維持しており、下値の堅さがあると言えなくもない。円高に一服感が出れば、日本株が底入れの兆しを見せる可能性も出てくる。

SBI証券・投資調査部長の鈴木英之氏は「為替が円高方向に振れれば、日経平均も1万6000円を割れる場面が見込まれるが、企業の決算発表も残っている。内容を見極めたいところでもあり、比較的ボックスに近い動きとなることも考えられる」と話す。

今週は国内では9日に毎月勤労統計、12日に4月27─28日開催分の日銀政策決定会合における主な意見が公表されるほか、13日には黒田日銀総裁の講演も予定されている。海外では8日に4月中国貿易収支、10日に4月中国消費者物価の公表が控えており、世界景気の減速懸念が拡大すれば、日本株にも調整圧力が加わることになりそうだ。

 

 

(株式マーケットチーム)

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