東芝「極めてホワイトな新社長」で起死回生? 医療事業を予想以上の高値で売却した救世主

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――今の東芝にとって「財務強化」とは資本増強のことである。かつての日立製作所がそうであったように、「資金集めのために成長シナリオを、説得力を持って語れる人物」に候補を絞っていったのではないか。

小林 まさにそのとおり。10年先の東芝をどう思っているのか、それを柔軟に判断できる、定見のある人を選んだ。そのための戦略はどうなのか。これらがオペレーションの上に立つ人物の大きなファクター(要素)だ。

――メディカル出身者がなぜ社長に選ばれたと思うか。

綱川 実際のオペレーションは各カンパニー長が進めていく。私に求められているのは、しがらみのない一定の合理性に基づいた経営判断、自由闊達な風土を醸し出すことではないか。

――医療関係に力を入れたい気持ちはあるか。

綱川 (がん細胞を殲滅する)重粒子線の技術が原発力事業部にある。5年後くらいに大きく咲けばいい、という気持ちはある。

室町現社長の今後の役目は?

――室町社長は特設注意市場銘柄の指定解除が退任の目安だった。まだ解除されていないが

室町 「株主総会前というこの時期に新体制を立ち上げたほうが将来の東芝はよい姿になる」という指名委員会の判断に従う。

――このタイミングでの退任に悔いはないのか。特別顧問に就く意味は。どの程度、経営に関与していくのか。

室町 道半ばで大変重く受け止めている。この状態を放置するのではなく、指定解除に向けてのサポートは全力を尽くしたい。その意味では悔いはない。押し売り的に経営に関与する立場ではなく、必要があれば全力でサポートしていく立場。任期は決まっていないが、そんなに長期間と指名委員会は考えてはいないだろう。

室町社長は終始、硬い表情を崩さなかった

――今回のトップ人事に経営責任の明確化の狙いはあるのか。誰が責任を負うのか。室町氏は取締役を外れるのか。

室町 (リストラや事業売却など)激変措置をしてきた責任を十分感じている。今回、指名委員会もその責任を考慮したと思う。私は取締役から外れる。

小林 1.4万人解雇(発言ママ。解雇ではなく、人員再配置・希望退職などを指すとみられる)を含めて、指名委員会は経営責任を当然重く受け止めて、今回の人事を考えた。

――志賀氏はウェスチングハウス会長時代に、ウェスチングハウスの減損を開示しなかった人物だが。

小林 基本的には過去の解釈というよりも、新生東芝になくてはならない人物である、ということを全面に評価した。

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