熊本の被災飲食店、進む復興と直面する課題

驚異的速さで営業再開した店舗も

全国から集まった人気ラーメン店の器を整理する『陽向』の内田哲史さんたち

4月14日以降発生した「熊本地震」は熊本県熊本地方を中心に甚大な被害をもたらし、4月28日までに震度1以上の揺れが1000回を超えるなど、予断を許さない状況が続いている。

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熊本県も益城町に入ると、特に倒壊した建物が目立つ

5月2日、被災地の飲食店の動向を取材した。震源地に近いとされる熊本県益城町(ましきまち)を訪ねれば倒壊した建物、避難所の生活を余儀なくされる人々など厳しい日々に変わりはない。

熊本市内へと向かえば、熊本城は損壊のために立ち入り禁止となり、東側の熊本大神宮は全壊。アーケードのある繁華街も、昭和9(1934)年創業の、熊本名物「太平燕(タイピーエン)」の元祖といわれる『紅蘭亭』下通本店が休業中など、各地に地震の爪痕が残っており、現在も休業中の飲食店が至る所に見受けられる。

再開した『いっぷくラーメン』には地元のファンで連日行列が

だが、事前に想定していた以上に復興が進んでいる飲食店もあった。いわずもがなだが、飲食店が運営するためには、いわゆるライフラインと呼ばれる電気、ガス、水道が必要となる。市内で王道の熊本ラーメンなどを提供する人気店『いっぷくラーメン』(熊本市南区田井島)では特に再開が早く、4月17日には営業を開始できた。

「うちは、井戸水を使用しているので特に早かったですね。ただ、汲み上げるのには電気が必要なので、それで数日かかったという感じです」と一美俊克さん。自家製麺というのも強み。ただ、食材の供給の関係で、提供メニューは一部不可だ。

器が割れてしまった店に全国から器が届く

「1度目の地震のあと、急いで器を床に並べたけれど、2度目の震度7で半数以上割れてしまった」と、『一連』の江藤裕美子さん

爽やかで使い切りトンコツラーメンの『一連』(熊本市中央区大江)も、4月23日に再開。店舗の外観は以前どおりだが、唯一違うのは「要注意」と書かれた黄色い紙が貼られている点。「応急危険度判定」と呼ばれる張り紙で、市からの委託で建築士らが被災した建物を調査し、「危険」(赤い紙)、「要注意」(黄色い紙)、「使用可能(調査済み)」(緑の紙)の3段階に分け、入り口に紙を張り付けていく。

「要注意」の黄色い紙。「危険」(赤い紙)、「使用可能(調査済み)」(緑の紙)の3段階あり

賃借店舗ゆえに「要注意物件なので大家さんから営業再開許可を貰えるまではどきどきしました」と江藤裕美子さん。熊本は最大震度7の大きな地震に2回襲われ、特に「本震」といわれた2度目の大きな揺れで被害を受けた人々が多い。一連も2度目の地震でラーメン器の半分以上が割れてしまったそうだが、それを聞いた各地のラーメン店から器が届いた。「たくさんの思い出の品も割れてしまったけれど、良い“断捨離”ができたと、逆に思いこむ事にしました!」

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