のぼうの城ーー人間力の時代に

実は、筆者は時代劇が好きだ。今回紹介する『のぼうの城』はまさに“痛快”時代劇といえる作品だ。

戦国時代の末期、豊臣秀吉・石田三成勢の2万人の大軍に屈することなく、たった500人の兵で抗戦し勝利した“実在”の武将・成田長親の姿を描くベストセラー時代劇が原作となっている。天下統一の野望の実現を目指す豊臣秀吉は、関東の最大勢力・北条氏の小田原城を中心に大軍を投じた。

しかし、最後まで落ちなかった武州(埼玉県北部)の忍城(おしじょう)と呼ばれる支城があった。その城には領民から「でくのぼう(木偶の坊)」を揶揄した“のぼう様”と呼ばれ、誰も及ばぬ人気で人心を掌握する成田長親という城主がいた。この長親にはその人間性による異常なほどの民からの「人気」があった。

秀吉は2万人の軍勢で攻撃を開始するが、文字どおりのでくのぼうのような男の長親は、その40分の1のわずか500人の軍勢で迎え撃とうとする。このような展開が、筆者はたまらなく好きである。特に長いものに巻かれろと考えることが多い現代人は惹かれるのではないか。

三成は、近くを流れる利根川を利用した水攻めを行うことを決定し、延べ28キロメートルに及ぶ石田堤(いまだに現存する)を建設する。しかし、長親を慕う農民の破壊工作もあって水攻めも成功しない。

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