消費支出は8カ月ぶりに前年同月比マイナス 【9月家計調査】

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総務省が10月30日に発表した2012年9月分の家計調査報告では、2人以上の世帯の消費支出は、1世帯当たり26万6705円となった。前年同月比では実質0.9%の減少で、8カ月ぶりにマイナスに転じた。季節調整値の前月比では実質1.9%の減少となった。

 総務省は消費支出のトレンドについて、8月分については「伸びが緩やかになっている」としていたが、今回は下方修正し「弱含みとなっている」とした。8カ月ぶりに前年同月比減少に転じたことや、他の景気関連指標も参考に判断したとしている。

家計調査は、全国約9000世帯を対象に、家計の収入・支出、貯蓄・負債などを毎月調査したもの。国内の景気動向などの把握に活用される。

 消費支出の内訳で、もっともプラスに寄与したのは、引き続き「交通・通信」で8カ月連続の実質増加。自動車等関係費が増えたことが主要因で、家計の支払いベースではエコカー補助金の影響が残っているためとみられる。しかし「保健医療」は5カ月連続の実質増加ではあるものの伸び率は前年同月比0.1%増とほぼ横ばいだった。

 一方、減少への寄与度が大きかったのが、「教育」で、2カ月連続で実質減少し、前年同月比23.7%のマイナス、寄与度では1.39%押し下げた。「昨年の9月の教育への支出が高かったため、反動減になっている」と総務省では説明している。「住居」も2カ月連続の実質減少で、前年同月比14.5%減、寄与度は1.03%のマイナス。これは「被災地以外で住宅エコポイントの期限が終了したことが影響している」と総務省では見ている。また、「光熱・水道」が前年同月比で実質3.6%の減少だが、これは「月末が日曜日であったため、料金の引き落としが一部10月にずれ込んでいる可能性が高い」という。

 2人以上世帯の消費支出のうち、勤労者(サラリーマン)世帯の1世帯当たり消費支出は29万9821円となり、前年同月比で実質0.6%増加して、8カ月連続でプラスとなった。

 10月分以降は、エコカー補助金の期限切れの影響が本格化するうえ、復興需要の息切れもあり、消費は低調に推移することが予想される。

 

大崎 明子 東洋経済 編集委員

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おおさき あきこ / Akiko Osaki

早稲田大学政治経済学部卒。1985年東洋経済新報社入社。機械、精密機器業界などを担当後、関西支社でバブルのピークと崩壊に遇い不動産市場を取材。その後、『週刊東洋経済』編集部、『オール投資』編集部、証券・保険・銀行業界の担当を経て『金融ビジネス』編集長。一橋大学大学院国際企業戦略研究科(経営法務)修士。現在は、金融市場全般と地方銀行をウォッチする一方、マクロ経済を担当。

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