Yahoo!ショッピング、「爆走」はまだ続くのか 期待の事業、収益貢献はいかに…

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2013年10月、孫正義会長(当時)はEC革命と銘打った手数料を無料にする奇策を打ち出した(撮影:大澤 誠)

「Yahoo!ショッピングが、大躍進を遂げた年になった」。

4月28日に開かれたヤフーの2015年度決算会見。宮坂学社長は、巨額の先行投資に踏み込んで注力中のショッピング事業が好調に推移していると、何度も強調した。

2015年度は、オフィス通販などを展開するアスクルの連結子会社化に伴い、第2四半期に保有株の再評価益約600億円を営業利益に計上。これを元手に販促費を前期比で280億円も増額し、その約5割をポイント付与の強化やテレビCMなどにつぎ込んだことが奏功したようだ。

流通総額が大幅に増加

ショッピング事業が急成長していることは、流通総額の伸びからも見て取れる。者や個人がサイト内に出店する、モール型ECのYahoo!ショッピングと、アスクルと共同で手掛ける直販型EC「ロハコ」を合算した流通総額は2015年度に3786億円となり、前期比で約4割増加している。

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Yahoo!ショッピングは1999年に始まって以来の注目を浴びている

同期間のロハコの売上高は266億円と流通総額の7%程度のため、9割以上を占めるYahoo!ショッピングが流通総額の伸びを牽引していることは明らかだ。

これまではモール型ECで国内トップである楽天の「楽天市場」の独走を許し、ヤフー内のEC事業でもネットオークションの「ヤフオク!」に比べて目立たなかったが、急速に存在感を高めている。

しかし、問題は今年度もこの勢いが続けられるかだ。2016年度について、宮坂社長は「ショッピングは昨年並みの成長率を維持したい」と目標を掲げる。ただ、販促費は前期より大幅に削減する方針だ。その中で、前期並みの成長率の実現というハードルは、実際にはかなり高くなる。

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