留学で「人生棒に振る人」が陥る3つの勘違い 帰国後に職がない!社会人留学の「あるある」

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前回も紹介したとおり、バンクーバーは世界で最も住みやすい街に選ばれたことのある都市。アジア人の移民も多いため、いくらか英語が話せれば、疎外感を抱くことなくローカルの気分が味わえます。また、仕事一筋だったAさんにとって衝撃的だったのは、自然を愛し、各々がライフスタイルを満喫するカナダ人の生き方・考え方。まさにAさんが求めた「ワークライフバランス」がそこにあり、居心地のよさを感じたのです。

そんな9カ月は、やはりあっという間に過ぎ、後ろ髪を引かれる思いで帰国。楽しかったカナダへの思いは途絶えることがなく、以前のように働く意欲が湧いてこなくなりました。転職活動では、海外で得たものとして「仕事に対する考え方」や「効率主義」など海外のビジネスカルチャーの長所を訴えたものの、面接官には響かなかったと言います。

学生のうちに海外経験を積んでいると、日本と海外双方の文化の違いに順応しやすいのですが、Aさんのように社会人になってから留学に参加する方は、海外の「ゆるい生活」に慣れてしまうことの危険性をぜひ認識していただきたいのです。

海外生活は「有限」と心得よ

では、彼はどうすればよかったのでしょうか。最も望ましいのは、MBA留学やエクステンションなど、社会人向けコースに参加することです。語学学校なら、平均年齢高めのキャリア系の学校を選択するなどして、自分自身に仕事と同レベルの負荷をかけることがポイントです。

現地に移り住み、骨をうずめる覚悟があるならかまいません。ですが、そうではない大半の方にとって、海外生活は「有限」です。いずれ日本できちんと社会復帰するという自覚を持って、帰国後の現実的な自分像を思い描いておくと、余計な脱力感に襲われずに済むでしょう。

■失敗留学パターン3:Yさん(25歳女性・病院事務職)の場合

Yさんは医者の家庭に生まれ、学生時代は生徒会長を務めるなど、周囲からも信頼される順風満帆な人生を歩んでいました。短大卒業後に父親の紹介で仕事をしていましたが、唯一、アメリカの大学を卒業することが、かねてからの夢として心に残っていました。

そこで25歳のとき、一念発起。アメリカの州立大学に編入することを決意します。高校時代に交換留学に参加したこともあり、無事TOEFLの必要スコアをクリアし就学ビザ(F-1)を取得。努力の結果、見事3年次に編入を果たしました。

大学ではマーケティングを専攻し、猛勉強の末卒業、OPT(Optional Practical Training)で現地企業での就業も経験したのちに帰国しました。ここからさらに飛躍するぞ!と意気込んでいたのですが……。

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