「娘と5年別居の父」が親権を勝ち取れた事情

「子どもの意思」は、どこまで尊重されるのか

「家庭裁判所で、親権者や面会交流 などを取り決める上で、子どもの意志は非常に重要視されています。

今回のように離婚裁判で親権が問題になっている場合だと、子どもの年齢が15歳以上の時は法律上、裁判所は子どもの陳述を聞かなければならないとされています。また、年齢が15歳未満の場合でも、10歳前後(小学校高学年くらい)の子どもの意思は、かなり尊重されています。

もちろん、子どもの意思だけで結論が決まるわけではありません。子どもの監護(監督保護)状況や両方の親との関係などが、家庭裁判所の調査官により調査され、総合的に判断されます」

育児にほとんど関わっていなかった親は、まずあり得ない

15歳未満の場合、どのくらい判断に影響するのだろうか。

「小学校高学年以上ですと、その陳述はそれまでの双方の親との関係性を如実に反映している場合が多いと言えます。実際の審判や裁判でも、子どもの意思が判断の根拠として大きな部分を占めているという印象です。

一方、小学校低学年の場合、確かに子どもの意思は調査されますが、その陳述は監護親(同居している親)の影響をより強く受けていると考えられます。そのため、子どもの意思は慎重に扱われ、子どもの意思に沿った判断にならないことも、かなりあります」

今回の場合はどうか。

「小学2年生ですと、その意思を重要視すべきか否かは、成長度合いによって異なってきます。とはいえ、子どもがとても嫌がっている場合や、同居中に育児にほとんど関わっていなかった親を親権者に指定することは、まずないと言ってよいと思います。

今回のケースでは、裁判所の聞き取りの結果、子どもが男性に対してネガティブな感情を持っていないと判断されたのだと思います。

また、男性は別居前に育児にある程度積極的に関わっており、子どもとの関係も良好だったようです。 その意味で、男性を親権者と指定することが、必ずしも子どもの意思に反するものではなかったのではないかと推測します」

高木 由美子(たかぎ・ゆみこ)弁護士
第一東京弁護士会所属。米国・カリフォルニア州弁護士
事務所名:さつき法律事務所

 

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