大災害後の「心の危機」は復興期に顕在化する 避難所トラブルも続出する「これから」の問題

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言葉掛けとともに気をつけたいのが、親切の「押し売り」です。誰かの役に立ちたいというのは、素晴らしい気持ちだと思います。ただ、それも自己中心的にならないよう、十分気を付けたいところ。

たとえば、流通がままならない中、生鮮食品は、手元に届くまでに傷んでしまいます。また、必要のないものが届いても邪魔なだけです。環境、場所、家族構成、性別によっても必要なものはそれぞれ違います。

独りよがりを防ぐために

私は今回の震災で、現地の親戚からインスタントラーメンを送ってほしいと依頼を受けました。ただ、カップ麺はゴミが大量にでるので、袋麺にしてほしい、とのことでした。そう言われなければ、私はカップ麺を大量に送っていたかもしれません。これも、食器があるか、水が使えるかなどの状況によって大きく変わることだと思います。

親切心から、自己判断で何かをするのは控えてください。幸いにも、現在は通信は遮断されていないので、随時、現地の状況を把握しながらの対応が望まれると思います。

できることをできる範囲で、独りよがりにならず相手の状況を見極めて、継続的に忍耐強い援助をしていきたいですね。一日も早い復興を願うとともに、被災者の方々、その関係者の皆様の心が穏やかでいられますようにお祈りしています。

大野 萌子 日本メンタルアップ支援機構 代表理事

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おおの もえこ / Moeko Ohno

法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。現在は防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで年間120件以上の講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)がある。

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