三菱自動車を悩ます、重すぎる不正の「代償」 顧客補償だけで1000億円規模も

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クレディ・スイス証券では、実際の燃費との差が約10%と仮定し、エコカー減税返納分、ガソリン代、中古車価格の下落分を顧客への補償額として試算。また販売停止が3カ月続く場合、工場の操業低下で150億円悪化すると推定し、燃費不正によるマイナスの影響を約650億―1150億円と見積もる。  

三菱自の調査では、1991年以降に販売したほぼ全車種で国内法令と異なる方法で燃費試験用データを計測していたことも判明した。軽4車種だけでなく、現在販売中の他の9車種についても追加調査中で、その結果、不正対象車が200万台以上に拡大するとの試算もあり、補償額はさらに膨らむ恐れがある。  

日産へ販売機会損失も補償

こうした顧客への補償に加え、販売店や部品メーカーへの支援費用も必要になる。軽4車種は不正公表後から生産販売を停止しており、停止期間が長引けば経営は厳しくなるからだ。また、日産に対する補償や法令違反の問題もある。  

三菱自が日産に供給するデイズは15年度の軽販売台数で3位に入る人気シリーズ。日産に対する補償額は販売機会損失という点も考慮され、販売停止期間にもよるが、数百億円規模とアナリストらはみている。三菱自にとっては今後、日産との提携解消や次期共同開発車の中止というリスクもある。

このほか、正規に測定した実際の燃費との差が小さいとしても、三菱自の法令違反は疑いの余地がないため、国土交通省が何らかの行政処分を課す可能性がある。

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