大きく動きやすいGW後の株価動向に要注意 まずは日銀会合の結果と市場の反応を確認

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したがって、長期休暇中に海外市場が変動し、休暇明けに保有ポジションに大きな損失が発生するのを避けたいのであれば、ポジションを持たない、つまり休暇前に手仕舞いをしておくことが必要になる。休暇をゆっくり楽しむには、それがいちばんである。むしろ、休暇明けからの市場動向に集中したい。

GWから1カ月後の株価動向には要注意である。過去15年間の上昇・下落の回数はそれぞれ8回、7回と拮抗している。しかし、変化幅を見ると、上昇は548円、下落は1094円と、下落の幅のほうが大きくなっている。その中でも、2001年、2006年、2013年はGW明けに株価が上昇したものの、その1カ月後に1000円を超える大幅安になった。GW明け直後に上昇した場合でも、その後は楽観できないことになる。結局のところ、市場動向を冷静に分析し、その時点で想定されるリスクをイメージしながら投資判断をすることが肝要ということになる。

注意が必要な米国市場の方向性

また、この時期は、株価が大きく動きやすい傾向がある。株式投資家ならご存知の米国の格言である「Sell in May」の時期でもある。5月に入る前に手仕舞いをして、夏休みをゆっくりと過ごし、秋口になったら市場に戻って、売り叩かれた株を購入するのが賢明であるという格言である。米国株にはさまざまなアノマリーがあるが、特に有名なのが、この「Sell in May」である。この点からも、現在は堅調に推移している米国株が、GW明けには急落していた、ということも十分にあり得る。この点からも、いまは無理をせず、市場の方向性が出るのを待つのもひとつの方法である。

ただし、米国では大統領選挙の年はこの格言は当てはまらないとの指摘がある。確かに、すべての選挙年を平均すれば、通常の年よりも5月から10月の期間のパフォーマンスは、それ以外の年のパフォーマンスに比べて相対的に良い傾向がある。しかし、今年のように、大統領が2期8年務める年の選挙年のパフォーマンスは最悪といってよい。すべての米大統領年の年間騰落率平均は7%のプラスだが、2期8年の年だけを抽出すれば、14%のマイナスである。つまり、今年の米国株は、大幅安になるリスクを内包している可能性があるといえる。現時点で、このような大幅安を想起させる材料は見当たらないものの、相応の注意が必要との従来からの見方は変わらない。

GW前の本日は、早めに手仕舞いをして、金融政策決定会合の内容も気にせず、ゆっくりGWを楽しみたいところである。ただし、この局面においても、あえて買いまたは売りのポジションを持つ勇敢な投資家もいるだろう。筆者はその中間である。オプションをかませて、大きく乱高下変動することに期待している。その結果、トレンドが出てくれば、その方向にポジションを持とうと考えている。無論、日本がGW中でもトレードできる海外市場を主軸に置くつもりである。いずれにしても、まずは日銀金融政策決定会合の結果と市場の反応を確認することとしたい。

江守 哲 コモディティ・ストラテジスト

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えもり てつ / Tetsu Emori

1990年慶應義塾大学商学部卒業後、住友商事入社。2000年に三井物産フューチャーズ移籍、「日本で最初のコモディティ・ストラテジスト」としてコモディティ市場分析および投資戦略の立案を行う。2007年にアストマックスのチーフファンドマネージャーに就任。2015年に「エモリキャピタルマネジメント」を設立。会員制オンラインサロン「EMORI CLUB」と共に市場分析や投資戦略情報の発信を行っている。2020年に「エフプロ」の監修者に就任。主な著書に「金を買え 米国株バブル経済の終わりの始まり」(2020年プレジデント社)。

 

 

 

 

 

 

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