松下よ、浪速の商人魂を取り戻せ(下) 業績V字回復はあるのか

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 最新
拡大
縮小

確かにアメリカの税率は40.75%になってはいるが、州によって違う(ネバダ州などは35%)から、財務省特有の「見せかけのテクニック」である。国民不在の政治と官僚天国が今のまま続くなら、グローバル企業だけでなく、真面目な納税者たちも海外に逃げてしまうことを、止める事はできないだろう。

パナソニックも日本も「思い違い」をしている

一方、日本政府の中でも、とくに経済産業省は素材産業の空洞化を最も恐れているようにみえる。「もしも日本の大企業がみんな海外に進出してしまったら日本国内には働く場所もなくなってしまう」と危機感を煽っている。だが、政府の言う通りにすれば日本メーカーは座して死を待つことになるだろう。

日本では少子化傾向が進み老齢化が進んでいるのだ。それゆえ国内市場はますます縮小していく。また国民の生活レベルは成熟して生活にもある程度満足しており、もはや家電製品で買うものを見つけることは難しい。もしも政府の言うとおりに、海外進出をためらっていたら、日本のメーカーはじり貧になって、ついには潰れてしまうと見るのが現実的な見方だ。

従って、サバイバルを図る優良企業の考え方は、まず海外にどんどん進出して海外で儲ける。海外で得た利益を日本に送金して、その利益で何とか国内の雇用を守り、新しい技術を開発したり、新製品を生み出したりする。これこそが日本や優良企業の役割だと考えている。

政府の経済政策や対外政策が何も決められないから七重苦を招いていることも事実ではある。だが、日本の企業も危機感が少ない。不平不満をいっているばかりではだめだ。そんなことをいっているうちに、知らず知らず、日本の一流企業も、我々日本人全体も、ハングリー精神を忘れてしまい、「被害者意識」にかられるという「思い違い」をしているのではないだろうか?

次ページ生意気だが言いたいことがある
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【逆転合格の作法】「日本一生徒の多い社会科講師」が語る、東大受験突破の根底条件
【逆転合格の作法】「日本一生徒の多い社会科講師」が語る、東大受験突破の根底条件
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT