ゲームの「高額課金トラブル」が続く根本理由  安易な課金体質を改善するのは簡単ではない

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批判を受け、サイゲームスはアイテムごとの出現率の表示や、ガチャの利用が300回(9万円)を超えた場合、好きなアイテムを獲得できるなどの対策を発表。親会社のサイバーエージェント<4751.T>も出現率の個別表示や、設定金額を超えた場合にアラートを出すなど独自ルールの導入を決めた。

業界ぐるみの自主規制機運も高まり、日本オンラインゲーム協会(JOGA)がガイドラインを公表。コンピュータエンターテインメント協会(CESA)も独自のガイドラインを27日にも公表する方向で調整を進めている。

しかし、複数の団体や企業がバラバラに動く中で、ルールから抜け落ちる企業が出てくれば、法的規制が動き出す可能性もある。

河野担当相は井坂議員への答弁で「業界がどのように自主規制のルールを作って、それをどのように担保するかをまずしっかり見極めたい」とひとまず静観する構えを見せたが、「それが抜け穴だらけで社会問題化してきたときには別のやり方を考える必要がある」とクギも刺した。

JOGAの川口洋司事務局長は「ガイドラインを守らなければ退会させるという方法もあるが、それよりも徹底的に教育する方向で取り組んでいきたい」と話す。

敬遠される「課金疲れ」

スマホゲームの寿命が短くなる中ではびこる課金主義。井坂議員は「いまはいかに繰り返しガチャをさせるかに知恵を絞っているが、それに依存せず、面白いゲームを作ることこそが本当の健全化だ」と業界の体質を批判。

カドカワのゲーム情報ポータル事業本部長、浜村弘一取締役も「ガチャは簡単に儲けられるので増えているが、これからは利用者が課金に疲れてしまうものは敬遠されるだろう。ゲーム性が高い、課金疲れしないものが選ばれる時代になる」と指摘する。

今月6日には無料対話アプリのLINEがゲーム内通貨の解釈をめぐって関東財務局と協議していることが明らかになった。ゲームビジネスの素早い展開をどう適正化するか、法規制との隙間に広がる「グレーゾーン」の処理が大きな課題になりつつある。

 

(志田義寧  編集:北松克朗)

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