日本株「底放れ」のタイミングは整いつつある 注目すべき3つの「B」から探る相場のゆくえ

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「Buy the rumor, sell the fact」~うわさで買って、事実で売る~

日銀の5年超にわたる指数連動型上場投資信託(ETF)の買い入れ総額は8兆円超(推定時価ベース)となり、国内上場ETF全体の5割超に達している。そのなか、4月28日の日銀金融政策決定会合で追加緩和期待が高まり、ETFの買い入れ枠を拡大すると予想されている。また日銀審議委員の入れ替えなど地ならしを進めつつ、夏の参院選に向けて株価の下支え策を整えている。

しかし、東京市場は日銀会合直後に大型連休に入る。緩和策の中身次第では上値追いの効果が限定的にとどまることや、いったん利益確定売りのきっかけにもなるだろう。5月上旬には国内企業の決算発表が相次ぐ。ある程度の収益鈍化を織り込んでいると思われるものの、市場参加者は積極的な上値追いに慎重となろう。

景気循環(Business cycle)からの視点

景気循環から日本株の底入れ時期が近づきつつある。戦後の景気循環において第2~第15循環を平均すると拡張サイクルは36カ月。一方、縮小サイクルに目を移すと、短くて7~9カ月(第8循環の円高不況や第15循環の欧州危機)、平均すると16カ月となる。日経平均株価を振り返ると、2012年6月(8295円)から2015年6月(2万0868円)まで36カ月の株高局面に至ったのち、足元まで10カ月の株安局面が続いている。

短期的に日銀会合の結果次第では利益確定売りのタイミングと思われる。ただ、2016年の日経平均株価を振り返ると、年初来マイナス2割程度となる1万5000円台まですでに2度下げている。中国株安、原油安、円高懸念等をある程度織り込みつつ、ここから下値を大きく売り込むことは限られそうだ。

中期のチャートでは上値抵抗ラインとネックラインを上回り需給改善の兆しがみえるなか、長期の景気循環からみても底放れする条件は整いつつある。今夏の参院選を控えて補正予算や消費増税先送りへの期待も根強い。今後は東証1部売買代金の増大がポイントとなろう。3つの「B」に目配せしつつ、2015年の1日当たり平均2.55兆円を上回ってくるか注目したい。

中村 克彦 みずほ証券 シニアテクニカルアナリスト

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なかむら かつひこ / Katsuhiko Nakamura

IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA)、日本テクニカルアナリスト協会(NTAA)評議員。

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