トヨタ社長らが消費増税前に背水の陣 車の税廃止を訴え

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(都内で自動車2税の廃止を訴える業界トップ)

 

すでに“六重苦”に苦しむ自動車業界に、2014年度からの消費増税が追い討ちをかけようとしている。

消費増税で国民が自動車購入をためらうようになれば、自動車メーカーが大打撃をくらうのは確実だ。年末に税制改正の議論が本格化するのを前に、自動車メーカーのトップは昨年に続き東京都内で記者会見を開催。消費税増税前に自動車取得税と自動車重量税の2税を廃止するよう、あらためて訴えた。

自動車には、購入段階(自動車取得税、消費税)、保有段階(自動車重量税、自動車税、軽自動車税)、走行段階(ガソリン税、消費税など)で9種類もの税金がかかる。その中で、自動車取得税は消費税と、自動車重量税は自動車税・軽自動車税と二重課税になっていると指摘されており、かねてより2税の廃止が求められていた。

日本自動車工業会(自工会)の会長も務めるトヨタ自動車の豊田章男社長は、「9種類、8兆円もの税を負担する日本の自動車ユーザーの負担は大きすぎる。米国の50倍だ」としたうえで、「自動車ユーザーを優遇してくれと言っているのではない。自動車ユーザーにばかり負担を強いる不公平を早く解決してほしい。そうすれば、日本全体が元気になる」と主張した。

国内の年間新車販売台数は、1990年度の780万台をピークに減少傾向にあり、11年度では475万台という低水準。自工会副会長を務めるホンダの伊東孝伸社長は、「自動車取得税、自動車重量税をそのままに消費税が10%に上がると、国内の新車販売は400万台を下回るだろう」との厳しい予想を述べた。

今回は消費増税が決まって初めての会見であり、消費増税前の2税廃止を求める自動車メーカートップの言葉には切迫感がこもっていた。一方で、財務省、総務省は2税合わせて9000億円に上る地方自治体の財源が失われては困るとして、廃止に難色を示している。自動車業界の悲願は叶うのか。

(長谷川 愛 =東洋経済オンライン)

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