プリウスの新PHVはいったい何がスゴいのか 内外装をガラリ変えた次世代エコカーの正体

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そもそも車名からしてふるっている。直訳すれば「最上のもの」。牛肉なら”プライム”が最上だし、銀行で”プライム”・レートといえば、特定の顧客に適用される最低金利を意味する。そして、類異物と区別するために付ける記号「'」をプライムと呼ぶという、2つの意味合いも持っているのだろう。

センターパネルには大型ディスプレイを搭載

エクステリアの変化にばかり驚いてはいられない。実はベースの4代目プリウスと比べるとインテリアがかなり違う。室内には、センターパネルに11.6インチの大型ディスプレイが搭載されており、テスラ「モデルS」を思い出させる。タッチスクリーン式で操作しやすそうだ。

EVモードでの走行が約2倍に

メカニズム上の特徴は、先代モデルと比べて、EVモードでの走行が約2倍の22マイル(約35キロメートル)になったことだ。搭載される電池は8.8kWhと容量は従来の約2倍。燃費については先代の95MPGから120MPG(約51km/L)へと延長されており、電池のエネルギーを使い切ったあとのハイブリッド単体の燃費も向上しているという。

ハッキリ言って、アメリカにおけるPHVの牽引役であるGMシボレー「ボルト」のEV走行距離の53マイルと比べて、EV走行できる距離が非常に短く、プリウスPHVを真似たとしか思えないヒュンダイ「ソナタ・プラグインハイブリッド」にすらEV走行距離の長さで負けていた。新型では、ようやくフォード「フュージョン・エナジー」を超えたというところだ。

EV走行距離は短いが、日本国内で日常的に使うには十分だ

ただ、日本におけるJC08モードでの開発目標は60km/Lであり、日本国内で日常的に使うには十分な距離ではある。以前もソーラーパネルは設定されていたが、発電した電気の用途は走るためではなく、エアコンなどの補機類に使われていた。プリウス プライムではソーラーパネルで充電した電気を駆動用バッテリに充電するので、100%ではないにしても、クリーンなエネルギーで走ることができる。

また、「デュアルモータードライブシステム」と呼ばれる機構を採用して、EVモードでの走行時に力強い走りができるという。これは、エンジンと動力分割機構の間にクラッチを設置して、2つのモーターのうち、従来は発電用にのみ使っていたモーターを駆動用にも使えるようにしたというもの。

あとは試乗してどうか? ということだが、ベースの4代目プリウスではシャシー性能が向上しており、ステアリング・フィールもあわせて走行時の安心感が高いなど、乗り味がよくなっている。それだけに、プリウス プライムの走りにも期待ができそうだ。

川端 由美 モータージャーナリスト
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