「ベンチャー・チャレンジ2020」が目指すもの 起業家を強力支援する「省庁間連携」

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ベンチャー・チャレンジ2020は、13ページの文書で、ベンチャーを巡る現状認識、2020年までの目標と今後、一体的に各省庁の支援を連動させる政策の方向性を記載したものです。各省庁のベンチャー支援を整理した施策マップが付属資料になっています(経済産業省、総務省、文部科学省では直接的な支援を実施していますが、それ以外の省庁でも、ベンチャーなどの企業が開発した新技術を活用するプログラムをはじめ多様な支援があります)。

取りまとめにあたっては、内閣官房の日本再生本部事務局が音頭をとり、関係省庁と調整をして決定文書としました。事務方として各省庁を調整して歩いた内閣官房の金指壽企画官は次のように語ります。「『第四次産業革命』という言葉に代表されるように、ビジネスの世界は、データを巡る戦いが本格化しています。スピード感を持って、新たなビジネスモデルを世の中に送り出すベンチャー企業を時代は求めています。政府も、縦割りではなく、一体的に、そうしたベンチャーを支援します。そのための第一歩が今回発表されたベンチャー・チャレンジ2020です」。

「地域」と「世界」を直結するベンチャーの創出を

ベンチャー・チャレンジの中では、現状、日本においては、ベンチャーが次々と創出され、成長するベンチャー・エコシステムが形成されていないと指摘しています。新しく事業を起す開業率(会社の総数に占める新規企業の比率)が欧米の半分であること、企業の成長資金であるベンチャーキャピタル投資が不十分であるなどの課題。そして、世界では、ベンチャーの中心地であるシリコンバレーを筆頭に、イスラエル、台湾、シンガポール、ロンドンなどにおいて、その地域の特色を生かしたベンチャー・エコシステムが形成されつつあり、これらの地域との競争と協調が必要としています。

その一方で、現在は、日本のベンチャーにとっての好機が到来していることも指摘。過去3度にわたるベンチャーブームを経て、「ヒト・モノ・カネ」の経営資源が、ベンチャーに向かいつつある。日本ベンチャー大賞の総理大臣賞のユーグレナやペプチドリームをサクセスストーリーとして掲げ、このようなベンチャーを増やし、新しい事業に挑戦する人を増やすために、「新たなる一歩」を踏み出すべきと提言しています。

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