震度7の地震から身を守る「8つの知恵」 地震大国で暮らすうえで知っておきたいこと

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ただ、本格的な耐震補強ができなくても、身を守る対策はいくつかある。名古屋大学減災連携研究センター長の福和伸夫教授は、(1)寝室など屋内の1カ所に絞って補強する例を挙げる。

金属加工メーカーのニッケン鋼業(東京)が開発したのが「防災ベッド」。ベッドの上をアーチ状に覆った鋼鉄製のフレームは、真上からの重さ10トンまで耐えられる。大人2人で2~3時間あれば組み立てられ、20万円(税別)から販売している。

防災グッズで手軽に

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備えておきたい九つの防災グッズ

震度7に備えてもう一つ、やっておきたいのが、(2)家具の転倒防止だ。東京消防庁のまとめでは、新潟県中越地震など2003~08年に発生した最大震度6弱以上の7つの地震で、家具の転倒・落下・移動が原因のけが人の割合は3~5割を占めた。

福和教授は、都市圏に多い高層建物に潜む危険性を指摘する。

「熊本の地震では長周期地震動の階級4を観測しましたが、タワーマンションがあったら強い揺れを受けていたはず。家具の転倒防止策は大事です」

家具の転倒防止グッズは、ホームセンターなどでよく見かける。カインズホーム南砂町SUNAMO店(東京都江東区)では、防災用品コーナーに家具と天井の間の突っ張り棒や、薄型テレビなどの底面に貼る粘着マットなどが並ぶ。値段も数百円から千円台と手ごろで、今回の地震後は「まとめて購入される方も多く、品薄状態が続いています」(曽根佑司店長)

とはいえ、熊本県益城町の女性(83)からはこんな声も聞かれた。

「タンスやテレビ、家具はすべて倒れてめちゃくちゃ。地震用の転倒防止金具をつけていたのですが、そんなものすべて吹き飛んで意味がありませんでした」

少しでも効果をアップさせるには、器具の設置の仕方に気をつける必要がある。防災士会の橋本さんは、持ち家の場合に勧めているL字金具も、壁の裏側の間柱(まばしら)の部分につけないと意味がないと指摘。壁に穴が開けられない賃貸でよく使われる突っ張り棒も、家具の手前ではなく壁側に設置しないと効果がなく、天井の強度も確認しておく必要があると説く。

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