いまや「ドローン」がアフガン戦争の主役だ 未公表だった米空軍のデータで明らかに

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空軍は今年第1・四半期に約300の兵器を配備、そのうち61%をドローンが占めた。このデータは、アフガンでの空爆の大半を担う米空軍が実施した空爆を対象にしている。

米中央情報局(CIA)や米陸軍、特殊作戦部隊もまた、より少数のドローンや他の軍用機を保有している。これら様々な組織は作戦決行時には密接に協力する傾向があるものの、空軍のデータには、他の組織との再区分を反映している可能性がある。

ドローン分析の盲点

アフガン安全保障に対する大きな脅威となるタリバンは、米政府が定めたテロリストではない。このため、ドローン攻撃の大半は、アルカイダのようなジハードの戦士のネットワークをターゲットにしている。

しかし、タリバンは支配地域を広げており、極端な状況では、米軍も彼らを対象に攻撃している。米軍によるタリバン攻撃の根拠については、現在ニコルソン司令官によって見直しが行われている。

また、アフガニスタンが有する空軍もゼロから立ち上げている状態であり、今後何年間も支援が必要になるだろう、と当局者は話す。

秘密裏に行われるドローン作戦は、アフガンやパキスタンでは地元市民や役人たちが、ドローン攻撃は民間人の命を不必要に奪っていると非難するなど、広く批判を浴びている。

直近の例では、パクティーカー州の住民が、4月に行われた一連の空爆により、約20人の民間人が殺害されたと訴えた。住民は空爆がドローンで行われたと主張している。米軍はこの件を調査中だという。

活動家や調査機関はこれまでパキスタンやイエメンといった地域で秘密裏に行われた空爆作戦に注目してきた結果、アフガンは「ドローン分析において全くの盲点」となっている、と米コーネル大学で無人機について研究するサラ・クレプス教授は指摘する。

クレプス教授は「アフガンでの空爆は、ドローンについて最も過小報告されている側面の1つである」と述べた。

シリアとイラクでイスラム国と戦うためにリソースが割かれてはいるものの、当局者はアフガンでの戦闘はなおも重要だと語り、そこでは米空軍が世界で常時行うことができる60のドローン作戦のうち、ほぼ2割を占めていると説明する。

米国当局により兵力制限が課せられるこの時代、ドローンは極めて有益だとナビッキー氏は語る。なぜならドローンのサポートや操縦ができる約1000人の人員のうち、約200人しかアフガンに配置されていないからだ。

「遠隔操作される軍用機は、より少ない人員と軍用機による柔軟性の向上を意味する」と同氏は言う。「無人機だからこそ、時により大きなリスクも許容できる。こうしたことすべてが価値をもつ」

(Josh Smith記者、翻訳:高橋浩祐、編集:下郡美紀)

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