見城徹は「時間に遅れる人」とは付き合わない 「3分で付き合うべきかどうかを決めてきた」

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――それを徹底してやりきるというのは大変なことに思えます。

もちろん。だからこそ自分にとって大事な人かどうか、常に区別を付けなきゃいけない。僕は初対面の人とその後も付き合うか、最初の3分で決めますよ。まず、時間に遅れる人が、許せない。特にあっちから会いたいと言ったのにもかかわらず時間に遅れてくるやつには耐えられない。礼儀は初対面のためにあるんです。

名刺の渡し方にしても、おざなりだったら指摘する。あとは、雑なやつが嫌いなんだ。自分に内容があってちょっと偉ぶってるぐらいならまだいいけど、どこどこの有名な大企業の役員ですけど、みたいな態度で接せられると、お前から肩書を取ったら何が残るんだって思うから、そのまま言います。

いけ好かない人間とは付き合わない。逆に、好きな人間に対しては、どこで悲しみ、どこで喜び、どこで傷つくか、相手のことを常に考えて行動する。僕は24時間、いつも神経を張り巡らせていますよ。ものすごく疲れるし、くたくたになります。でもそれをやらないと人との関係なんて築けない。仕事は、人を動かして初めて圧倒的結果が出るんです。

熱狂すれば正しくなる

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――文庫版には、見城さんが「義兄弟」と表す秋元康さんによる解説がありますが、その中に「僕ら凡人は『もういいじゃないか』ってバーベルを上げない言い訳を考える。だけど見城さんは精神のボディビルダー、精神のアスリートだから、本当に苦しく顔を歪めながら日々精神を鍛えている」と書いてあります。

僕は、この歳になって、秋元以上の親友はもう現れないんじゃないかと思っているんです。自分をこんなに理解してくれる人が一人でもいるのは幸せだなあと思いますよ。秋元はそう書いているけど、秋元こそ努力の人ですよ。軽々となんでも成功させているように見えるけど、実はとんでもない努力家。この何年かで一番顔を合わせているのは秋元で、いろんな場面で一緒に会食しているけど、彼は酒を一滴も飲まないし、二次会にも絶対来ない。

何をしているかというと、オフィスに戻って企画書を書くか、プロデュースのプランを描くか、作詞をしているんです。それに、いつLINEしてもすぐに返信がくる。夜中の3時にLINEをしても、朝5時半にLINEをしても、すぐに返信がある。秋元の、ずっと仕事をしていないと気が済まないというのは、いつもすごいなと感心しています。

――そこまで仕事に打ち込めるというのは本当に凄まじいですね。その一方で自分の働いている業界に将来性があるか、この職場でいいのかと悩んでいる方も多いと思います。

自分がやっていることが、世間の評価として正しいのか、間違っているのか、そんなことは考えずに、自分が好きなことに熱狂すればいい。ストッキングに興奮するのなら、ストッキングの会社に就職すればいいし、ラーメンがたまらなく好きならばラーメンに関わる仕事をすればいい。年収がどうだとか、業界の将来性がどうだとかなんて関係ない。正しいか、正しくないかは後でわかる。熱狂できるなら正しいということだし、熱狂すれば正しくなるんです。

(聞き手:箕輪 厚介  構成:川内 イオ 撮影:今井 康一)

見城 徹 幻冬舎 社長
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