「匠大塚」は実の娘を本気で潰そうとしている 本家・大塚家具を上回る規模の大型店を出す

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「前の会社(大塚家具)とは差別化した」と胸を張る匠大塚の大塚勝久会長(撮影:今井康一)

「大塚勝久でございます。志をともにする仲間とともに新たな一歩を踏み出します」

大塚家具創業者で前会長の大塚勝久氏(72)は4月20日、新たに設立した家具販売の新会社「匠大塚」(たくみおおつか)の概要について、東京・日本橋で記者会見を行った。4月22日に日本橋デザインオフィスを開業するほか、今年夏には、生まれ故郷である埼玉・春日部市の西武百貨店跡に大型家具店を開業すると発表。会見には石川良三・春日部市長も駆け付け、「市を挙げて歓迎する」とコメントした。

大塚家具のショールーム近くにあえて出店

春日部市の店舗予定地の近くには、長女・大塚久美子氏(48)が率いる大塚家具の春日部ショールームがある。大塚家具の経営権を争った2015年3月の株主総会では久美子氏が勝利、続く社債償還をめぐる法廷闘争では今年4月の東京地裁で勝久氏が完勝。今後は経営戦略の巧拙をかけた“第3ラウンド”が始まることになる。

匠大塚会長の勝久氏は会見で、「昨年3月に会社と縁が切れ、4月は悩んだ1カ月間、5月は決断の1カ月だった」と振り返った。昨年7月に設立した匠大塚の社員は当初5人だったが、現在は50人まで拡大。そのほぼ全員が勝久氏を慕って大塚家具を辞めてきた人たちだ。勝久氏は「今まで経験したことのない結束力だ」としたうえで、「前の会社(大塚家具)とは差別化したいと思って、違うビジネスモデルを考えた。匠大塚は全員プロだ。短い準備期間でもこれだけのことがやれるということを、前の会社にもお客様にも見てもらいたい」と胸を張った。

高級家具が並び、かつての大塚家具のような匠大塚・日本橋デザインオフィス(撮影:今井康一)

日本橋デザインオフィスは予約制。設計事務所やインテリアコーディネーターといったプロの来客を想定している。広いフロアに入ると、高級な家具や照明、カーテン、絨毯などが並べてあり、かつての大塚家具とどことなく似ている。匠大塚で社長を務める長男の大塚勝之氏は、「ここでは何も売らないとあえて言いたい。多くのノウハウをお客様に提供していく」としており、インテリアを総合プロデュースしていきたいという。

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