トランプ人気支える華麗なる「愛娘」の正体 物議を醸す父親が溺愛する冷静な経営者

拡大
縮小

トランプが米フォックス・ニュースの女性キャスター、メーギン・ケリーに対し問題発言を行った際には、イヴァンカはできるだけ傷を小さくしようと試みた。4月12日のCNN主催の対話集会では、父について自分を励まし、力を与えてくれた存在だと語った。

先ごろトランプ・タワーで行ったインタビューで、イヴァンカは穏やかな表現ながら父を批判する人々を攻撃した。「思慮の足りない人たちが、あたかも父という人間や、特定のテーマに関する父の意見についてしたり顔で主張するのにはうんざりだ」とイヴァンカは述べた。「父はとても広い心を持ち、心から人々を、すべての人々を愛している」

幼い頃に両親が泥沼離婚

トランプは選挙戦において政治のプロからのアドバイスは受け入れようとしない。また、彼の考え方に影響を及ぼすことのできる人間は、イヴァンカを含め陣営の中でもほんの数人に過ぎない。

もっともいつもうまく行くわけではない。トランプと親しいある人物の話では、トランプが「メキシコは米国に『強姦魔』を送り込んでいる」と述べて問題になった際、イヴァンカは父に謝罪を勧めたが説得には至らなかった。その一方で、共和党の批判にもかかわらず、希望者に人工妊娠中絶を行う非営利団体「プランド・ペアレントフッド」への条件付きの支持を続けるよう、父を説得することには成功している。

「父親のほうは娘の言うことにきちんと耳を傾けていると思う。耳を傾けているというのは、自分の娘だからというだけでなく、娘の考えを非常に尊重しているという意味だ」と語るのは、トランプ一家と以前から親しい投資家のカール・アイカーンだ。「軽々に言っているわけではない。富豪で子持ちという友人はたくさんいるが、際立った存在というのはそう多くない」

イヴァカは、トランプとチェコスロバキア出身の元モデル、イバナの間に生まれた3人の子どもの真ん中だ。父とその後に2人目の妻となるマーラ・メープルズとの交際を知ったのは、通っていたマンハッタンの女子校の外でたくさんのカメラマンに囲まれた8歳の時だった。両親の泥沼の離婚は多くのメディアで報道された。

世間的にはトランプは強欲と行きすぎのシンボルとなった。だが彼女にとっては子煩悩な父親のままだった。1年にわたって父と口を聞こうとしなかった兄と異なり、離婚について父を責めることはなかった。

次ページ経営者としての才能は?
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT