(第5回)企業から見た「採用したい学生像」の変遷をたどる(現在編)

(第5回)企業から見た「採用したい学生像」の変遷をたどる(現在編)

八木政司

●そして、今「採用したい人材像」

 就職氷河期を経て、バブル期のようなOB訪問は消滅した。その代わりに大手を中心とした一部の企業などが通年のインターンシップや就職支援に乗り出し始めている。
 OB訪問のようなone on oneのシステムではないが、この背景には、時代に合ったOB・OG訪問の機会を提供したいとの想いがあることを、まず学生の皆さんは理解しなければならない。

 キャリアセンターを中心とした大学サイドも熱心に指導に取り組んでいるが、平等を期する大学の支援制度は、ある種の就活マニュアルを大学一丸となって作り上げてしまう危険性を孕んでいる。「採用目線」を持つ企業は、こと採用については決して大学の取り組みだけで満足しているわけではないのだ。

 以下はある有名企業の人事責任者が言った言葉だ。「コミュニケーション能力はマストの能力ですが、先の見えない時代に、自分なりに会社や業界のことを一生懸命に調べ、自分と会社の将来の成長を重ねて見る視点、見ようとする視点を持っている人がいます。社会が求める個性とはこのような自分なりの視点を持ったマニュアル化されていない個性のことなのです」。

 コミュニケーション能力については、連載第2回でお伝えしたとおりだ。そして、今回、皆さんにお伝えしたいテーマは「個性」、つまり「自分なりのものの見方」である。
 「業界」「企業」「仕事」「自分の将来」などを「自分なりの視点」で見て、個性豊かなコミュニケーションをするには、社会や業界の歴史を知り、現在を研究・分析し、未来をイメージする必要がある。

 そのためには、まず「好き・面白い」という本能的な理由だけで興味の対象としていたものを変えてみることをお薦めする。つまり、普段の生活から、見るメディアや番組、読む本の種類、親や友人との会話の内容を意識して変えてみるのだ。嘘だと思うなかれ、そこには必ず、今まで知らなかった自分の興味の対象が見えてくるはずだ。

 そして、その対象が発見できれば、その興味の対象を切り口に、自分の知恵を総動員し、自分の努力で社会に対するアプローチを試みるのだ。方法はインターンシップにこだわることはない。ひとつヒントを出すとすれば、多くの社会人にとって「就職活動」は学生のテーマであることを忘れてはならないということだ。

 そこで、キーワードとなるのは「プロの仕事」だ。待遇で選ぶ仕事は、いつの日か「すすんでやる仕事から、やらされる仕事」になる。皆さんが「興味をもった仕事」を切り口にアプローチすれば、連載第2回でお伝えしたコミュニケーション能力は確実に鍛えられるはずなのだ。

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これから面接本番に向かう学生の皆さんへ
<ワンポイントアドバイス>


 4月に入ったこともあり、すでに内定を獲得したという方もいることだろう。
 「本命の企業はこれから」ということであれば、悔いのないようにチャレンジしてほしいが、そうでなければ、 皆さんが頭を悩ますのは、就職活動を継続するか否か、ということだと思う。
 市場は完全な売り手、秋採用の機会もあるし、おそらく訪問先は山ほどもラインナップできるはずだ。
 筆者はここで皆さんの就職活動の継続について云々語る資格はない。
 しかし、ただ一つだけ言えることは、この学生優位の環境のなかで、自分で意思決定をして入った会社では何があっても最低3年間は仕事をしてみなさいということだ。
 そして、新卒入社で選ぶ企業とは3年間は何があっても頑張れると判断できる企業を選ぶべきだということだ。
高校入学後、3年経つとプロ野球のドラフトで指名されるように、若いときの3年間はそれまでの自分を変えることができる。
 皆さんは、自らが持つその可能性を途中で投げ出す必要はないのである。

八木政司(やぎ・まさし)
採用プロドットコム株式会社 企画制作部 シニアディレクター
1988年関西学院大経済学部卒。大手就職情報会社で営業、企画部門で主にメーカーの採用戦略をサポート。その後、全国の自治体の地域振興に関る各種施策や計画書の策定業務に携わり、2000年から再び企業の採用支援業務に取り組む。08年4月より現職。
採用プロドットコム株式会社 https://saiyopro.com/
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