「スーパー北斗」は北海道の窮地を救えるか 北海道新幹線開業で在来線ダイヤも変化

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噴火湾沿いを快走する261系(撮影:久保田敦)

さらに2014年 8月改正で3時間30分となり、新函館北斗停車が加わった今改正での最速は3時間31分となった。もとより停車駅が多かった列車では、長年の3時間15分前後が現行では3時間45分程度を要することとなっている。

今般3往復に261系が投入された中の1本、「スーパー北斗11号」の函館からの所要時間は、3時間48分。東京から「はやぶさ5号」で乗り継ぎ札幌に向かうと1163km、7時間44分。東北新幹線が開業した1982年(昭57)、青函連絡船で渡道していた当時に比べれば半分の時間となり速くなったとは言え、さすがに長旅を感じるところだろう。

在来線特急は道内都市間輸送を盛り立てる

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だが、北海道新幹線は北関東や東北地方と道南を結び付ける効果は大きそうで、意外なところでは大宮で乗り換えられる北陸新幹線沿線からの動きも呼び起こしている。それをどのような策で札幌方面へ引き込むか。また、函館の力量にかかってくるが、函館が活性化すれば道内の動きも増える。狙い目はそこにありそうだ。

北海道新幹線の開業日、札幌駅では特段のセレモニーは行われなかった。堂々とした駅ビルのガラスウォールには新幹線開業を告げる巨大な紗幕が下げられていたが、一般の感覚として喜びを実感する距離ではないのだろう。

だが、函館―札幌間の特急がさらに自在に快適に乗れる存在に育つとしたら、それが大きな恩恵である。北海道新幹線が札幌に来る2030年まで先は長いが、その間、在来線特急列車は道内屈指の都市間輸送を盛り立ててゆくことになる。

鉄道ジャーナル編集部

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車両を中心とする伝統的な鉄道趣味の分野を基本にしながら、鉄道のシステム、輸送の実態、その将来像まで、幅広く目を向ける総合的な鉄道情報誌。創刊は1967年。

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