「段取り」の野田政治、最大の欠点は「説明努力」の軽視

「段取り」の野田政治、最大の欠点は「説明努力」の軽視

野田首相が代表再選を経て内閣改造を行い、自民党も総裁が交代したのに、臨時国会がいつ始まるのか、はっきりしない。

特例公債法案が成立しなければ、財源が枯渇して予算が執行できなくなる。選挙制度改革を実現しなければ、違憲状態で事実上、総選挙を行えない。新閣僚の姿勢や考えを国民に明らかにするためにも国会で質疑が必要だ。

だが、衆議院の解散を国会開会の条件にと狙う自民党に対して、総選挙恐怖症から解散に追い込まれるのを避けたい民主党では、臨時国会不要論まで噴出する。近く民自両党の党首会談が開かれるかどうかも見通せない。そこで、消費税増税法案が成立した現段階で裸の「野田流」を見極めるため、ここまでの野田政治を「野田語」で振り返ってみた。

首相は「決める政治」「仕事をする政治」「政治を前進させる」が口癖で、「先送り」「棚上げ」を排斥する。一見、のらりくらりの「泥鰌」に見えても、手塚前首相補佐官によると、「一番わかりやすいスタイルは後退しないこと」で、「一歩後退・二歩前進」という発想には立たないのだろう。

増税実現に「ぶれない」「逃げない」「ネバー・ネバー・ネバー・ギブアップ」「不退転の決意」で突き進んだが、一方で、「段取り」の重要さを説いてきた。用意周到が持ち味で、「段取り力」を重視する。

反対勢力に向かって「ノーサイドに」「政局でなく大局」と訴えたが、民主党分裂、支持率低迷、次期総選挙敗北必至という無残な結果を招いた。「融和」や「大局を」の訴えは野田流の「仕事をする政治」の方便と見抜かれたのだろう。「段取り」も重要だが、国民の合意と支持、それを獲得するための説明努力の軽視が野田政治の欠陥ではないか。

「後退しない」がスタイルで、「先送り」「棚上げ」を嫌い、「逃げない」のが首相の身上なら、民主党の党内世論に引きずられず、ここは腹を括らなければならない。

懸案の解決だけでなく、野田政権を国民にアピールするためにも、秋の臨時国会は不可欠だ。「政治を前進させる」ために、自ら国会開会に向けて「段取り力」を発揮すべきである。

(写真:尾形文繁)


塩田潮(しおた・うしお)
ノンフィクション作家・評論家。
1946(昭和21)年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
処女作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師-代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤の真実』『日本国憲法をつくった男-宰相幣原喜重郎』『「昭和の怪物」岸信介の真実』『金融崩壊-昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『出処進退の研究-政治家の本質は退き際に表れる』『安倍晋三の力量』『昭和30年代-「奇跡」と呼ばれた時代の開拓者たち』『危機の政権』など多数

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