一流大学を出ても出稼ぎ 若者から希望を奪う経済

ある台湾人は4カ月も歯痛に耐えたという。最初は近くの医者に診てもらったが、消炎剤を塗っただけで50豪州ドルも取られる。それでも痛みが取れないので、歯を抜こうと思ったらさらに100豪州ドル支払う。痛み止めを買うのにも豪州では医者の処方箋が必要だが結局、台湾に戻った。

ルームメートが台湾の家族に電話をかけ、ここの生活は想像とあまりにも違うと泣き言を言った。だが、その父親はこう言い放ったという。「そうして、もまれるのはいいことだ。台湾の若者は苦労に耐えられない。オフィスに座って仕事をすることばかり考えている。だから仕事が見つからないのだ」。

彼もルームメートの父親と同じことを考えている。履歴書に2年間の空白ができても構わない。台湾の労働市場では、多くの専門能力は必要がない。必要なのは苦労に耐えることだ。

大学4年間で学んでも台湾が必要とする人材にはなれない。2年間、羊肉の皮をはぎ続けた台湾人労働者こそ、台湾の労働市場に適しているのかもしれない。

経済を学んだ彼は、台湾でここ10年余り叫び続けられてきた産業構造の高度化は何ら成果はなく、専門能力の蓄積では高い待遇は得られないと判断している。彼は、若いときにある程度のお金をためることこそ、より現実的だと語る。

2年間働いた後、彼は台湾に戻るつもりだ。最悪の場合、銀行の仕事に戻ろうと思っている。ただし、将来のことは、まずここでカネを稼いだ後に考えるつもりだ。

(台湾『今周刊』No.821号/楊 紹華、孫 蓉萍記者 =週刊東洋経済2012年10月13日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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