新指導体制で変わる平壌 北朝鮮の今 

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9月初旬、平壌・順安空港から平壌市内に向かう時から、その変わりようには驚かざるをえなかった。

記者は1998年2月に訪朝したことがある。当時の北朝鮮は、核問題による国際的な孤立が深まり、そのうえ自然災害などで食糧難が極限に達していた「苦難の行軍」の時期。平壌市民の表情からは笑顔も見えず、街全体が暗く沈んでいた。

ところが、14年後の今、市民たちの服装、特に女性の服装は華やかになり、表情も和らいでいるように見えた。東京や北京などと比べればもちろん暗いが、街灯もかつてよりは多く点灯され、マンションの窓から漏れる明かりも以前より多く、かつ明るさが増した。

今回、日本人ジャーナリストの訪朝団の一員として入国。1週間の全行程には、北朝鮮当局の案内員がつき、宿泊先も予定も平壌に着かないとわからなかったのは、以前と変わらなかった。

滞在中の9月9日は、北朝鮮の建国を祝う共和国創建記念日。北朝鮮と国交を持つ国からの使節や観光客が多数訪れ、順安空港のロビーは人と荷物でごった返していた。

宿泊したホテルのロビーは、朝や夕刻になると欧米人であふれた。北朝鮮が国交を持つ国は世界で約160カ国。この数年、欧州連合(EU)各国との国交も開かれたためか、オランダやイタリアなどからの団体旅行者もいた。さらには、北朝鮮と敵対している米国からのツアー客もいた。「嫌だと思ったらまったく接触しない、来ようとしないのは、日本の人ぐらいなものですよ」という案内員の痛烈な皮肉には、返す言葉がなかったほどだ。 

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