26年経っても原発事故被害は現在進行形 菅谷昭・松本市長/医師に聞く

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除染に過度な期待は禁物

--日本政府は汚染地区の除染に力を入れて、住民の帰還を目指しています。

政府としてそのような対策を取るのは理解できる。だが、ベラルーシで除染について聞いてみると、「われわれも事故当初、除染は相当やったし、カネもかけたが……」と「結果的には無理」ということを言いたそうだった。除染をしても、森林地帯の木の枝や葉っぱなどで放射線量が戻り、イタチごっこに陥ってしまったようだ。地面を掘り返しても、時の経過とともに放射線量は元に戻るとのことだった。

現在、汚染地域では除染はやっていないとのこと。これは、日本にもそのまま当てはまるのではないだろうか。もちろん、やらないよりやったほうがいいとは思うが、日本には過度の期待があるように思える。ベラルーシで日本の除染計画について紹介したら、「そのような高汚染地区でなぜ除染をやるのか」という口ぶりだった。

--がれきや汚染土壌の処理は、ベラルーシではどうしているのですか。

ベラルーシでは高度汚染地区で処分しているという回答だった。日本の状況を話すと、「残念だとは思うが、汚染土壌などは高度汚染地区に置いたほうがいい」という印象だった。

いずれにせよ、26年経っても住めないという事実がベラルーシに厳然と横たわっている。野田佳彦首相は、原発問題に「毅然として対処する」と言うが、それならば、住民にはたいへん気の毒だが、補償策をはじめ現実的な対応を取ったほうがよいのではないだろうか。


ベラルーシ政府関係者は、「まだ現在進行形で被害は続いている」と説明
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