「モテ欲」は、人を成功に導く巨大な力になる 一見「モテたい」だけに見えるあの人も…

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集注欲求が恋愛に結びつけば、確かに「モテたい」という行動として現れる場合もある。でも、「そうじゃない場面のほうがはるかに多い」と捉えたほうが、人間理解としては正確ではないでしょうか。

というのも、集注欲求というのはうまく生かせば、人を前に進める、大きな力となりうるものだからです。世の中で大きな仕事をなしとげる人、きらりと光る何かを残す人というのは集注欲求をうまく昇華させることに成功した人だと思います。

一見「モテたい」だけに見えるあの人も

「モテたい」「モテたくない」というゼロかイチかという見方をしていると、どうしても「あの人はナンパな人だ(あるいは「堅物だ」)」というような、二項対立的、あるいは平面的な理解からしか、相手を捉えることができません。でも、一見「モテたい」だけに見える人でも、実はさまざまな場面で、さまざまな形で集注欲求を発散させるべく、工夫を重ねていることがあるんです。

自分はどう集注欲求を解消しているのか、あの人はどう、集注欲求をエネルギーに変えているのか。

いまあなたが「モテ」というフィルターで観察している現象を、そういう視点から捉え直してみてください。そうすればきっと、人間というのが単に「異性にモテる」という心理だけで動いているわけではないということが、よりよく理解できるはずですし、異性の言動に振り回されることも、少なくなるんじゃないか、と思います。

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名越 康文 精神科医

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なこし やすふみ / Yasufumi Nakoshi

1960年、奈良県生まれ。精神科医。専門は思春期精神医学、精神療法。近畿大学医学部卒業後、大阪府立中宮病院(現:大阪府立精神医療センター)にて、精神科救急病棟の設立、責任者を経て、99年に同病院を退職。引き続き臨床に携わる一方で、テレビ・ラジオでコメンテーター、映画評論、漫画分析など様々な分野で活躍中。
著書に『心がフッと軽くなる「瞬間の心理学」』(角川SSコミュニケーションズ、2010)、『毎日トクしている人の秘密』(PHP、2012)、『自分を支える心の技法 対人関係を変える9つのレッスン』(医学書院、2012)、『驚く力 さえない毎日から抜け出す64のヒント』(夜間飛行、2013)などがある。
夜間飛行よりメールマガジン「生きるための対話」刊行中。オフィシャルウェブサイトはこちら。twitterはこちら

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