広岡達朗氏「プロ野球監督は勉強不足すぎる」

短期間の勝利だけを求めても結果は出ない

プロ野球のセ・パ両リーグで日本一を達成した広岡達朗さん(撮影:南浦護)

賭博に、覚せい剤に、声出し問題と、開幕前に暗いニュースが駆け巡ったプロ野球界。「選手である前に、一人の社会人たれ」といった声も聞こえてきますが、そうした野球人としてのあるべき姿に昔から人一倍こだわり、監督時代、選手を育てて勝つことに全力を傾けてきた広岡達朗さん。

自身の猛烈な勉強と信念のもと、選手の夜遊びや飲酒を禁止し、自然食を取り入れるといった〈管理野球〉で、ヤクルト、西武の監督時代に日本シリーズで優勝。セ・パ両リーグで日本一を達成した名監督として知られる広岡さんですが、教える上での悩みやつまずきはなかったのでしょうか。最近上梓した『巨人への遺言』のお話とともに、指導者としての挫折について伺いました。

伝わらない。ならどうするか

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――巨人での現役時代のショートでの活躍も華々しいものでしたが、広岡さんは引退後、広島とヤクルトでコーチとして若い選手を育て、ヤクルトと西武では監督としてセ・パ両リーグで3回優勝するなど、指導者としての手腕が高く評価されています。84歳になられた今も時々、母校・早稲田大学野球部の後輩や子供たちの指導をされているそうですね。

広岡:これがまたいい勉強になるんです。我々が育った頃の方法で言っても、今の子はわからない。言い方を変えなきゃいけない。一事が万事そうですよ。たとえば、母校の呉三津田高校の生徒が「ショート用のグローブが欲しい」と言うんです。それもカタログを見て、阪神の鳥谷(敬)が使っている革で作ったという5~6万円するものを欲しがる。親は大変ですよ。

この話を聞いた私の知人が、私が監修してメーカーに作らせたグローブをその子にプレゼントした。オイルもついて1万7000円くらいのものです。子供のころから私のファンだったという父親からお礼の電話がきたが、「ところで、そんな安いグローブで息子はうまくなりますかね」という。いまどきは、子供も親も、道具が高けりゃうまくなると思ってるんだね。間違ってる。

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