第3世代を引き上げた野田首相の真意

第3世代を引き上げた野田首相の真意

塩田潮

 24日、民主党の新三役が決まった。 離党者阻止や解散・総選挙の先送りとの関係で、輿石幹事長の再任が議論を呼んでいるが、新任の細野政調会長、山井国対委員長という顔触れも注目点だ。細野氏は「選挙の顔」、山井氏は国対副委員長2年の経験を買った人事といわれているが、崖っ縁の野田首相は、党内の世代交代を大胆に進める気ではないのか。

 民主党には第1、第2、第3世代の色分けがある(以下、丸囲み数字は当選回数)。 結党以来、党を支えてきた鳩山元首相【8】、菅前首相【10】、横路衆議院議長【10】、渡部元副議長【14】らが第1世代、政権獲得を推進した岡田副総理【7】、前原前政調会長【6】、赤松元農水相【7】、仙谷元官房長官【6】、枝野経産相【6】、海江田元経産相【5】、原口元総務相【5】らが第2世代で、細野【4】、山井【4】の両氏は、長妻元厚労相【4】や馬渕元国交相【3】らと並んで、次の第3世代だ。

 民主党が二大政党に伸張した2000年総選挙以後に国会に出てきた人たちである。

 一方の自民党は、谷垣総裁【10】、総裁選出馬組の町村氏【10】、石破氏【9】、石原氏【7】、安倍氏【6】とも、1993年総選挙以前の中選挙区制時代に議員となった人たちで、揃って世襲政治家だ。経験と実績は豊富だが、「古い自民党政治」を克服できるかどうかが問われている。

 民主党の第3世代には、北欧留学経験を踏まえて社会福祉の分野で異才を発揮してきた山井氏を始め、自民、民主の二大政党政治の幕開け後に、異分野から単身で政界入りした非世襲の雄志・有為の人材が少なくない。いまや沈没寸前の民主党という印象だが、この異分野からの新人材の受け皿という点は、民主党の隠れたセールスポイントだった。

 第2世代で最初に政権を担った野田首相【5】が、野党転落とその後の復活も視野に入れ、大胆な世代交代による民主党再生を構想しているなら、それは一つの方向と姿勢に違いない。だが、第1世代の無力化、ライバルである第2世代の封じ込め、第3世代との結託といった政略の匂いもしないではない。

   自身の政権維持のための世代交代作戦であれば、首相自身、世代交代の激流に呑み込まれて、あっという間にご用済みとなるのは必定である。
(写真:梅谷秀司) 
塩田潮(しおた・うしお)
ノンフィクション作家・評論家。
1946(昭和21)年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
処女作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師-代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤の真実』『日本国憲法をつくった男-宰相幣原喜重郎』『「昭和の怪物」岸信介の真実』『金融崩壊-昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『出処進退の研究-政治家の本質は退き際に表れる』『安倍晋三の力量』『昭和30年代-「奇跡」と呼ばれた時代の開拓者たち』『危機の政権』など多数
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