炭素繊維に積極投資する東レの強みと弱み

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炭素繊維は機能性の高い素材として各産業からの注目が高い。現在、東レは世界シェア3割超を生産しており最大手だが、懸念もある。中国やトルコなどコスト競争力に優る新興国が炭素繊維の生産に本腰を入れているのだ。今後は産業用の汎用性の高い炭素繊維を中心に、価格競争が激化するとの見方も出ている。

 

これに対し、東レは13年に稼働予定の韓国新工場を、産業用汎用炭素繊維のコスト競争力を高める拠点とし、低価格化に対応する。また「安全性への実績が重視される航空機向けは、検証に長時間かかるため、新興国の炭素繊維の採用はまだまだ先」(アナリスト)との見方が大半を占めており、牙城となる航空機向けなどハイエンド分野での強みもしばらく維持できそうだ。

将来、新興勢に逆転されないためにも、今回の大規模な設備増強を軸に需要を取り込み、炭素繊維分野でのリードを広げたいところだ。

(鈴木 良英 =東洋経済オンライン)

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